2005 Fiscal Year Annual Research Report
感覚運動制御と高次認知機能が共有する神経機構と作動原理の解明
Project/Area Number |
17022044
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
本田 学 国立精神・神経センター, 疾病研究第七部, 部長 (40321608)
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Keywords | 神経科学 / 認知科学 / イメージング / 学習 / 磁気刺激 |
Research Abstract |
本研究では運動前野および頭頂葉が、運動を伴わない脳内情報操作においての機能的分担について、空間情報の脳内操作時の脳活動を機能的磁気共鳴画像法を用いて検討した。空間情報の操作にあたり、情報を静的に保持する過程には後部頭頂皮質が、保持した情報を動的に操作する過程には頭頂葉に加えて外側運動前野が寄与する、という仮説を立て検証にあたった。 この目的のために、わが国に古くから伝わるくじ引き法である「あみだクジ」を応用した視空間情報操作課題を考案した。本課題では、あみだくじパターンを静的に保持記憶する期間と、記憶したパターンに基づいて実際にあみだくじを脳内で実施する操作期間とが時間的に分離されている。 その結果、空間情報(あみだくじパターン)を静的に保持する時には、両側後部頭頂皮質に強い活性が見られたのに対して、運動前野の活動は明らかでなかった。一方、記憶したパターンに基づいて実際にあみだくじを行うときには、後部頭頂皮質のより広い範囲に加え、両側外側運動前野で強い活性が見られた。これらの結果は、後部頭頂皮質は空間情報の記憶・保持に寄与するのに対して、外側運動前野は、記憶した空間情報にもとづいて動的な操作をおこなうときに重要な役割を果たすことを示唆しており、私たちの仮説を支持する結果と考えられる。またあみだくじを実際に実施しているときに広範囲で活性が認められた頭頂葉の上頭頂小葉、下頭頂小葉および楔前部の3領域の活性について時系列解析をおこなったところ、上頭頂小葉、下頭頂小葉は保持期間も操作期間も同様の活動が見られていたのに対し、より正中よりに位置する楔前部は、操作期間に選択的な活動を示した。このことは後部頭頂皮質の中でも、楔前部は静的な情報保持過程ではなく、動的な操作により選択的にかかわる可能性を示唆するものと考えられる。
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Research Products
(6 results)