2005 Fiscal Year Annual Research Report
動機づけに基づく目標指向行動の脳内情報処理メカニズムの解明
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17022052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
設樂 宗孝 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10357189)
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Keywords | 報酬期待 / 島皮質 / 単一ニューロン記録 |
Research Abstract |
目標指向行動において報酬到達までの労働負荷、報酬価値、報酬確率の情報処理が脳内でどのようになされているかを調べるために動物に学習させる課題である「多試行報酬スケジュール課題」遂行のための新実験制御装置セットを作成した。装置はスケジュール課題を制御しながら、同時にデータを取得し、かつ、データのヒストグラム等による閲覧も同時にオンラインでマルチウィンドウ表示できるものであり、課題制御とデータ取得を行う本体部分、視覚刺激装置、単一ユニット連続記録装置から成る。本体部分の構築を完成し、この本体に繋ぐ視覚刺激装置、および単一ユニット連続記録装置のパーツを購入し組み立てた。 一方、報酬価値を変化させる実験の前段階として、報酬量一定の多試行報酬スケジュール課題を用いてサルの島皮質のニューロン活動を調べた。多試行報酬スケジュール課題では、報酬の獲得に達するのに複数回試行を正解する必要があるが、この時、報酬までの距離(スケジュール進行)をキューによって示す条件(キュー条件)と、キューを提示する順序をランダムにして、報酬がいつ得られるかをキューによって示さない条件(ランダム条件)を設定した。この両方の条件で記録を行った前部島皮質のニューロンのうち、70%はランダム条件のすべての試行で反応した。このうち、60%は、キュー条件では報酬試行のみで反応した。このことは、前部島皮質の多くのニューロンは報酬が得られるかもしれないという期待に関する情報を持っており、ランダム条件では報酬獲得が不確実な条件での報酬期待、キュー条件では報酬獲得が確実な時の報酬期待の情報を持つと言うことになる。前部島皮質は、ヒトを被験者にしたfMRI研究で、ギャンブル課題や行動決定課題を行わせたときに強く反応することが報告されているが、それが前部島皮質ニューロンの「報酬への期待」による反応であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)