2009 Fiscal Year Annual Research Report
動機づけに基づく目標指向行動の脳内情報処理メカニズムの解明
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17022052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
設樂 宗孝 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (10357189)
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Keywords | 報酬期待 / 単一ニューロン記録 / 前部帶状皮質 / 背側縫線核 / セロトニンニューロン / 報酬価値 / 行動決定 |
Research Abstract |
目標指向行動において報酬到達までの労働負荷、報酬価値の情報処理が脳内でどのようになされているかを調べるために「報酬量可変型多試行報酬スケジュール課題」をトレーニングしたサルの前部帯状皮質吻側部および背側縫線核よりニューロン活動を記録した。前部帯状皮質吻側部よりニューロン活動を記録しているサルでは、報酬価値および労働負荷を変化させる条件を設定し、報酬価値はサルに与える水分の量により3段階にコントロールし、労働負荷は報酬到達までの試行数を最大4回まで設定することで、スケジュール状態で合計10、水分量のパラメーターを合わせると合計30の状態でチェックした。その結果、スケジュール状態に関わらず特定のタスクイベントで反応するニューロン、報酬試行に向かってスケジュールが進行するに従って徐々に反応が大きくなるニューロンと、徐々に反応が小さくなるニューロンが見られたが、後者の割合の方が多いという点が、前部帯状皮質尾側部とは異なっていた。別のサルには、報酬スケジュール課題遂行時の背側縫線核からのニューロンの活動の記録を行った。ニューロンは課題のさまざまなフェーズで反応し、報酬試行で反応するものと無報酬試行で反応するものがあったが、無報酬試行で反応するものの割合が多かった。また、報酬量に反応するニューロンも存在した。一方、報酬の価値とそれを獲得するためのコストの兼ね合いをどう選択するかという行動決定の過程を調べるために、サルに報酬量と報酬獲得までのスケジュール数の組み合わせを選択させる行動決定課題を行った。その結果、サルの選択行動は報酬価値の指数関数減衰モデルによってうまく説明できることがわかってきた。
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