2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
仲村 春和 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90079690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 淳一 東北大学, 加齢医学研究所, 助教授 (00270827)
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Keywords | ニワトリ胚 / 中脳視蓋 / 網膜視蓋投射 / Fgf8-Ras-ERKシグナル経路 / Hes5 / En-2 |
Research Abstract |
鳥類以下の脊椎動物の中脳視蓋は視覚の中枢として働き網膜からの位置特異的投射を受ける。本研究は視蓋の層形成、極性形成の解析を通して網膜視蓋投射機構を明らかにしようとするものである。本年度は、ERKの活性化が視蓋前後極性の形成に関係しているという仮説のもとに実験を行った。中脳胞・後脳胞領域にDN-Ras(ドミナントネガティブ型Ras)を強制発現すると、ERKのリン酸化が抑制され、後脳領域に異所的視蓋が分化する。Dilで鼻側網膜神経節細胞をラベルすると、本来発生初期にERKが活性化されていた視蓋後側に投射するはずであるが、投射点が明確には見られなかった。異所的視蓋が本来の視蓋とつながっているときはそこまで線維が伸びていた。耳側網膜線維は視蓋前側で投射点が見られたが、そこから後の方に伸びている線維が存在した。これまでに視蓋の極性形成にEn2が大きな役割を果たすことが示されているが、その上流でFgf8-Ras-ERKシグナル経路が働いていることが分かった。 視蓋でEnによりその発現が負に制御される分子のスクリーニングで2つのHes5が単離された(Hes5-1とHes5-3)。さらにホモロジーサーチによりHes5-2の存在が分かり、それも単離した。Hes5-2の中脳・後脳部での発現はない。Hes5-3はEn2による発現抑制を受ける。また、Hes5-1,Hes5-3はお互いの発現を抑制している。Hes5-1の強制発現によりDeltaの発現が抑制され、Hes5-3のsiRNAを発現させてもDelta1の発現が抑制された。このことから、Hes5-3がHes5-1を抑制し、Hes5-1はDelta1を抑制することにより神経分化の制御にあたっている。その結果、視蓋前側では後側よりも神経分化が早く進む。またHes5はephrinA-2の発現を抑制することによっても視蓋の前後軸形成に関与している。
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