2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾藤 晴彦 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00291964)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究では、CaMキナーゼファミリーによるCREB転写制御機構を介したシナプス機能調節とともに、神経アクチン細胞骨格再編成によるシナプスリモデリングに至る機構の解明を目指している。 1.本年度の研究により、以下のことが明らかとなった。 1. 前年度にCREB転写を負に制御する活性を有し、微小管とも結合していることが明らかになったDCLK2/CLICK-IIの生物学的意義をDCLK2ノックアウトマウスにて解析し始めた。DCLK2発現の高い脳部位(嗅球および海馬)では、同KOマウスに大きな脳構造上の異常は認められなかったが、現在行動解析を実行中である。さらに、CREB活性を調節するシナプス活動の種類を探索していく過程で、前初期遺伝子Arcのプローモータにおける神経活動応答性エレメントSAREを世界に先駆けて発見した。このエレメントは、100Hz, 1s刺激x10回で10時間にわたり、持続的に転写活性化されることを見出した(Kawashima, et al. PNAS 2009)。さらにSARE配列の生理的意義を解明すべく、マウス遺伝学的実験にも着手した。 2. プルキンエ細胞の活動の下流で、電位依存性カルシウムチャンネル依存的に、ShanklのPSD局在が制御されており、この際、アクチン重合の維持が必要であることが明らかとなった。 3. CaMKK-CaMKIカスケードの神経突起形成・伸展に対する影響を明らかにする過程で、CaMKIgamma/CLICK-IIIが樹状突起伸展を支配するのに対して、異なるCaMKIアイソフォームが軸索伸展を別個に独立して制御することを見出した。
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