2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾藤 晴彦 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00291964)
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Keywords | 脳・神経 / 神経科学 / シグナル伝達 / 蛋白質 / 生理学 |
Research Abstract |
本研究では、CaMキナーゼファミリーによるCREB転写制御機構を介したシナプス機能調節とともに、神経アクチン細胞骨格再編成によるシナプスリモデリングに至る機構の解明を目指している。 本年度の研究により、次のことが明らかとなった。まずタンパク合成依存的なLTP後期相にCREB経路やこれに依存した新規mRNA転写が不可欠であることをRichard Morrisらとの共同研究で解明した。さらに、CREB活性を調節するシナプス活動応答性転写調節エレメントSAREの神経活動依存性について明らかにし、SAREを含むArc全長プロモーター断片が、可塑的な回路に属する細胞のマーカーとして有望であることを見いだしつつある。加えて、SAREにおけるCREB依存的転写制御に関わるマスター制御因子の存在を明らかにした。またCREB転写の制御因子候補であるDCLK1/CLICK-IとDCLK2/CLICK-IIの両遺伝子を欠損したマウスを作出し、その飼育解析を開始した。一方、CaMKK-CaMKIαカスケードの神経突起形成・伸展に対する影響を明らかにする過程で、脳発達初期におけるCaMKK-CaMKIαカスケードのアクチン骨格制御作用が、GABA依存的に引き起こされることを解明した。これにより、大脳皮質両半球間の交連線維の軸索終末の伸展やシナプス形成に寄与する外部シグナル依存的カルシウムシグナリングの存在が明確に示された。
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