2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
真鍋 俊也 The University of Tokyo, 医科学研究所, 教授 (70251212)
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Keywords | 海馬 / カルシウムチャネル / リン酸化 / NMDA受容体 / シナプス伝達 / 活動電位 / 遺伝子改変マウス / 可塑性 |
Research Abstract |
1.シナプス後細胞の反復する活動電位により非ヘブ型の長期増強(LTP)が誘導されることを明らかにした。マウス海馬スライス標本において、CA1領域の錐体細胞からホールセルパッチクランプ記録法によりAMPA受容体によって媒介される興奮性シナプス電流を記録した。NMDA受容体阻害薬の存在下で、シナプス後細胞に脱分極パルスを繰り返し与えるとシナプス応答が長期的に増強した。このLTPはL型カルシウムチャネルのブロッカーにより抑制され、CaMKIIの阻害薬により減弱した。また、微小興奮性シナプス後電流(mEPSC)も、電気刺激により誘発されるEPSCと同程度の増大を示したことから、このLTPは入力非特異的にシナプス後細胞のほとんどのシナプスで誘導されることも明らかとなった。さらに、電流固定下で活動電位を繰り返し発生させても同様のLTPを誘導することができた。 2.海馬CA1領域におけるLTPの誘導・発現にシナプス後細胞のCaMKIIの酵素活性が必須であることを明らかにした。CaMKIIαのATP結合部位に点変異を導入することによりリン酸化能が欠失したCaMKIIαを発現するノックインマウスを作製し、その機能解析を進めた。野生型マウスと変異型マウスから海馬スライス標本を作製し、CA1領域において細胞外電位記録法により興奮性シナプス応答を記録した。基本的なシナプス伝達には異常がまったくみられず、NMDA受容体シナプス応答についても遺伝子型間で有意な差はみられなかった。それに対し、変異型マウスでは入力線維を高頻度刺激して誘導されるLTPがほぼ消失していた。また、この変異型マウスでは受動的回避学習が顕著に障害されていることも明らかとなり、CaMKIIが有する多くの機能のうち、酵素活性自体がシナプス可塑性と記憶・学習に重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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Research Products
(15 results)