2006 Fiscal Year Annual Research Report
透明頭蓋マウス大脳皮質における高次感覚情報処理機構の研究
Project/Area Number |
17023020
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40146163)
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Keywords | 体性感覚野 / フラビン蛋白蛍光 / 経頭蓋イメージング / 末梢神経 / 自発発火 / GDNF / 神経因性疼痛 / 活動依存的可塑性 |
Research Abstract |
本年度はマウスの末梢神経を部分切除した後の大脳皮質-次体性感覚野応答の消長を経頭蓋フラビン蛋白蛍光イメージング法で解析した。 前肢掌側を支配している正中神経・尺骨神経を切除した直後、前肢掌側にブラシによる触刺激を与えると、体性感覚野応答は殆ど消失した。しかし、神経切除の3〜4時間後、体性感覚野応答の有意な回復が見られた。動物を麻酔から回復させた2週間後に、再び体性感覚野応答を調べると、前肢掌側刺激に対する体性感覚野応答は神経切除前と同程度に回復していた。しかしこの回復した体性感覚野応答は、前肢背側を支配する橈骨神経・筋皮神経を切除することで完全に消失した。即ち、正中神経・尺骨神経の切除により、橈骨神経・筋皮神経の感度が異常に上昇し、体性感覚野応答の見かけ上の回復が生じたと思われる。次に神経部分切除による可塑性が、切除された神経を伝わる自発的な神経活動の伝導阻害によって生ずるのか否かを検証するために、TTXを正中神経・尺骨神経に局所的に投与した。薬物投与開始直後は、体性感覚野応答は殆ど消失するが、3〜4時間後には神経部分切除後と同様な回復が見られた。また神経切除実験において、切断箇所の中枢端を低頻度で電気刺激すると、体性感覚野応答の回復は阻止された。以上の実験結果から、末梢神経を伝わる自発発火活動の途絶が残存神経を介する体性感覚野応答を増強させたものと結論される。神経栄養因子のGDNFは神経切除に伴う疼痛を抑圧すると報告されている。そこで神経切除実験でGDNFを正中神経・尺骨神経の中枢端に投与すると、体性感覚野応答の回復が起こらなかった。しかしGDNFにTTXを加えて投与すると応答は回復した。 以上の結果から、GDNFのような内因性物質が末梢神経に作用して自発発火を引き起こしていること、この内因性物質による末梢神経の自発発火が体性感覚野応答の恒常性を保っていることが示唆された。
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[Book] Coupling of brain function and metabolism : Endogenous flavoprotein fluorescence imaging of neural activities by local changes in energy metabolism. In Handbook of Neurochemistry & Molecular Neurobiology. 3rd Edition, Vol. 5, Neural Energy Utilization (Gibson G and Dienel G, ed).2007
Author(s)
Shibuki, K., Hishida, R., Kitaura, H., Takahashi, K., Tohmi, M.
Total Pages
322-342
Publisher
Springer, New York