2008 Fiscal Year Annual Research Report
透明頭蓋マウス大脳皮質における高次感覚情報処理機構の研究
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17023020
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
澁木 克栄 Niigata University, 脳研究所, 教授 (40146163)
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Keywords | フラビン蛋白蛍光 / 経頭蓋イメージング / 視覚野 / 眼優位性可塑性 / 斜視 / 片眼プリズム / 頭頂連合野 / プロトカドヘリン |
Research Abstract |
高次感覚連合野の機能の一つは複数のモダリティの感覚情報を統合することである。例えば霊長類の頭頂連合野では体性感覚情報と視覚情報が統合され、空間認知がなされることはよく知られている。マウスではヒゲ情報と視覚情報の双方に基づいて空間認知がなされるので、霊長類の頭頂連合野に相当する部位でこの両者が統合されている可能性がある。マウスの眼前にプリズム眼鏡を装着すると、プリズムによって視覚情報に狂いが生ずるので、ヒゲ情報と視覚情報の食い違いが生する。このとき視覚野の応答が抑圧されるという経験依存的可塑性が生ずることが判った。この抑圧は、一見単眼遮蔽による抑圧と類似しているが、両眼からの入力が重複しない単眼視領域でも生じる。即ち単眼遮蔽による抑圧とは異なり、両眼からの入力が競合することによって抑圧が生ずるのではない。さらに予めヒゲを切ったマウスにプリズム眼鏡を装着させても抑圧は生じなかった。即ちヒゲを切っておくことによってヒゲからの情報が入らなければヒゲ情報と視覚情報の食い違いが検出されず、抑圧も生じない。一方単眼遮蔽による抑圧はヒゲを切っておいても通常と変わりなく生じた。またプリズム装着による抑圧は予め連合野の一部を破壊しておくと生じなかった。最も効果の強い破壊部位はブレグマから1ミリ外側、2ミリ後方の部位であり、一次視覚野の前方内側に位置していた。ちなみに単眼遮蔽による抑圧は、この部位を予め破壊しておいても普通に誘発された。最後に神経系に特異的な細胞接着因子プロトカドヘリンアルファを欠損するマウスでは、プリズム装着による抑圧は阻害されるのに対し、単眼遮蔽による抑圧は誘発された。これらの結果は、プリズム装着による視覚野抑圧は、これまで全く報告されていない新しいタイプの経験依存的可塑性であり、ヒゲ入力と視覚入力を統合する高次感覚連合野機能の働きに依存することを示している。
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Research Products
(6 results)