2006 Fiscal Year Annual Research Report
発達期小脳における神経活動依存的なシナプス機能成熟
Project/Area Number |
17023021
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
狩野 方伸 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40185963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 発達 / 脳・神経 / 小脳 / プルキンエ細胞 / 登上線維 |
Research Abstract |
本研究は、小脳の登上線維とプルキンエ細胞のシナプスをモデルとして、発達脳における不要なシナプス結合の除去と有用な結合の強化固定化の機構解明を目指している。成熟動物では小脳プルキンエ細胞は1本の登上線維によって支配されるが、発達初期には3-5本の登上線維の支配を受けている。発達につれて過剰な登上線維が「除去」され、残存すべき1本の登上線維が「強化」されて、マウスでは生後約20日で成熟型の1対1の結合が完成する。平成18年度は、前年度に引き続き、(1)高閾値型のP/Q型カルシウムチャネルの、生後10日までの過剰な登上線維シナプス除去(前期シナプス除去過程)への関与と(2)GABA作動性の抑制性シナプスの活動の生後10日から16日の間の除去(後期シナプス除去過程)への関与、について調べた。(1)については、前年度に作成したプルキンエ細胞特異的なP/Q型カルシウムチャネル欠損マウスの電気生理学的及び形態学的解析を行った。その結果、このマウスでは前期シナプス除去過程が進行せず、また同時に起こる1本の登上線維の選択的強化も起こらないことが判明した。したがって、これらの現象にプルキンエ細胞のP/Q型チャネルを介する活動が必須であり、プルキンエ細胞以外の部位に存在するP/Q型チャネルは関係しないことが判明した。(2)に関しては、GABA_A受容体機能を上昇させるジアゼパムによって、GABA合成酵素GAD67のヘテロノックアウトマウス(GAD67+/-)の異常が回復するかを調べた。GAD67+/-においてシナプス除去の異常が生ずる生後10日から15日の間にGAD67+/-にジアゼパムを投与したところ、シナプス除去は正常に回復した。この結果から、GABA_A受容体を介する抑制性シナプス伝達の強さによって、後期シナプス除去過程が制御されていることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)