2007 Fiscal Year Annual Research Report
発達期小脳における神経活動依存的なシナプス機能成熟
Project/Area Number |
17023021
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 方伸 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (40185963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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Keywords | 神経科学 / シグナル伝達 / シナプス / 発達 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本研究は、小脳の登上線維とプルキンエ細胞のシナプスをモデルとして、発達脳における不要なシナプス結合の除去と有用な結合の強化固定化の機構解明を目指している。成熟動物では小脳プルキンエ細胞は1本の登上線維によって支配されるが、発達初期には3〜5本の登上線維の支配を受けている。発達につれて過剰な登上線維が「除去」され、残存すべき1本の登上線維が「強化」されて、マウスでは生後約20日で成熟型の1対1の結合が完成する。平成19年度は以下の点について研究を進めた。 1.前年度に引き続き、マウスの登上線維-プルキンエ細胞シナプスの生後発達の詳細を調べた。生後7-8日では、登上線維は、最も優勢な登上線維(CF-multi-S)とそれ以外の弱い登上線維(CF-multi-W)に既に機能的に分化しているが、どちらの登上線維シナプスもプルキンエ細胞の細胞体に限局していた。生後9日から14日にかけて、CF-multi-sは樹状突起に支配領域を拡大するが、CF-multi-Wの支配領域は細胞体と太い樹状突起の基部に限局していた。そして、生後15日頃に、細胞体周辺のシナプスが消失することで、登上線維の単一支配が完成することが明らかになった。 2.生後15-14日の麻酔下のラット小脳プルキンエ細胞からin vivoでホールセル記録を行い、生後4-7日のプルキンエ細胞で自発的なバーストスパイク発火がみられることを発見した。バーストスパイクに先行して複数の興奮性シナプス後電位がみられた。これは、記録しているプルキンエ細胞を多重支配する登上線維が、同期的に活動して生ずるものと考えられた。 3.前年度に引き続き、小脳と下オリーブ核の共培養標本の開発を行った。下オリーブ核を含む延髄片から登上線維が伸長して小脳片に侵入し、プルキンエ細胞に機能的な登上線維シナプスを形成することを電気生理学的に確認した。
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Research Products
(30 results)