2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 由美子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (10291907)
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Keywords | 視覚野 / ケージドグルタミン酸 / 抑制性細胞 / ホールセル記録 / 神経回路 / 結合特異性 / 錐体細胞 / ラット |
Research Abstract |
視覚野の神経回路特性を調べるために、ラット視覚野の切片標本を用い、ケージドグルタミン酸とレーザー光を用いた局所刺激法と2細胞からの同時ホールセル記録法を組み合わせて実験を行った。これまでに我々は、視覚野を対象とした研究において、2/3層内および4層からの興奮性結合は特定のニューロン群を選択的に結合することにより微小神経回路を形成していることを見出した。本年度は、抑制性細胞もこの微小神経回路に組み込まれているかを解析した。 視覚野2/3層の錐体細胞と抑制性細胞からペア記録を行った。錐体細胞とfast-spikingタイプの抑制性細胞(FS細胞)から記録した場合、47%のペアではFS細胞から錐体細胞への抑制性結合がみられた。錐体細胞からFS細胞への興奮性結合は19%のペアで観察されたが、そのほとんどがFS細胞からも入力を受けていた。上述の局所刺激法によって両細胞への興奮性入力を解析した結果、双方向性結合ペアでは、別の2/3層錐体細胞および4層からの興奮性入力を高い割合で共有していた。一方、2/3層錐体細胞と、スパイク発火にadaptationがみられる抑制性細胞(AD細胞)のペアでは、神経結合を形成している確率は低かった。また、2/3層錐体細胞とAD細胞への共通の興奮性入力は、すべてのペアで稀であった。つまり、FS細胞にみられた神経結合選択性のルールはAD細胞には当てはまらないと考えられる。 従って、1)2/3層内および4層から2/3層への興奮性結合は、近傍の錐体細胞やFS細胞からなる特定のニューロン群を選択的に結合して非常にファインスケールのサブネットワークを形成し、おそらく特異性の高い情報処理計算を実行していること、2)AD細胞由来の抑制性入力は複数のサブネットワークにまたがっており、非特異的あるいは統合的な調節をしていること、が示唆された。
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Research Products
(3 results)