2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (30126015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝広 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303812)
久場 博司 京都大学, 医学研究科, 助手 (10362469)
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Keywords | 聴覚 / H電流 / K電流 / 音源定位 / 同時検出 / 層状核 / FRET / calpain |
Research Abstract |
層状核NLは左右の大細胞核からの入力の同時検出を行うことによって時間差を計算している。EPSPの時間経過と同時検出の精度には高い正の相関がある(Kuba 他 Jp 2003)。NLの神経細胞体および樹状突起は高い周波数帯では小さく、より低い周波数帯域になるに従い大きく発達し連続的に変化する。低閾値カリウムチャネルKv1.2は中間周波数帯で高い発現量を示す。Kv1.2の発現は中間周波数帯でEPSP時間経過を短縮し、同時検出精度を高める(JNS 2005)。H電流を発生するHCN1およびHCN2の発現にも周波数依存性があり、特にHCN1は低周波数帯域で高く発現する(JNS 2005)。HCN2の発現はHCN1に比べて相対的に均一であり、結果として高い周波数帯ではHCN2の発現密度が相対的に上昇する。HCN2は細胞内cAMP濃度に応じてゲート特性を変化させる。層状核では、8-Br-cAMP,caged-cAMPの光活性化、あるいはノルアドレナリン投与など、細胞内cAMP濃度を上昇させる操作にともない、特に高い周波数帯に属する神経細胞の静止膜電位が数mV脱分極した。この脱分極変化は、Kv1.2作用と相乗的にはたらき、EPSP時間経過を促進することにより、高い周波数帯域のNL神経細胞の同時検出精度を改善した。同時検出の時間窓で評価した場合、高い周波数帯のNL細胞の時間窓は対照では0.7msであるのに対して、ノルアドレナリン投与後5分で0.4msに短縮した。 さらに、ECFP-EYFPのFRETを応用したCa2+センサー蛋白質F2Cを作成した(BBRC 2005)。リンカー部分がcalpainの基質特性を持ち、Ca2+センサー機能はCalpainの持つCa2+感受性を間接的に利用した。今後、F2Cを神経系に発現するマウスを作成することにより神経回路機能の解析に応用する予定である。
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Research Products
(5 results)