2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (30126015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝広 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40303812)
久場 博司 京都大学, 医学研究科, 助手 (10362469)
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Keywords | 聴覚 / 同時検出 / 音源定位 / シナプス / 特徴抽出 / 大細胞核 / 層状核 / 蝸牛神経核 |
Research Abstract |
ニワトリの蝸牛神経核・大細胞核において低周波数帯域の音情報の時間揺らぎが改善する機構を明らかにした。活動電位発射の位相応答特性は一般に低周波数帯域で高い。しかし、低周波数は1周期の実時間が長いので活動電位発生の時間揺らぎの絶対値は大きい。以下の機構により聴神経と大細胞核との間で、時間揺らぎの改善が行われる事を示した。(1)大細胞核の膜興奮性はK+チャネル毒DendroToxinで大きく影響され、その程度は高-中間周波数帯で大きい。K+チャネルKv1.1の発現は高い周波数帯域で強く、低い周波数帯域に向け減少する。(2)中間-高周波数帯域では大きな杯様シナプス前終末が形成され大きなEPSCが発生する。EPSCは刺激強度に対して大きさがほぼ一定であり全-無的に発生する。時間的な揺らぎの少ない正確なシナプス伝達を実現している。(3)低周波数帯域では、ブトン様の小さな神経終末から小さなEPSCが発生し、EPSP1個で活動電位閾値に到達することはない。EPSCサイズが刺激強度に応じて増大することから、1個の神経細胞に多数本の聴神経線維がシナプスを形成している。ある時間窓内に生じた複数の小さなEPSPが時間積算される事により、始めて閾値を超え活動電位が発生する。この過程で、より時間応答特性のそろった活動電位が、発生する。このようにして、聴神経線維の形成するシナプス終末の形態および大細胞核神経細胞との間のシナプス伝達の電気生理学特性によって、低い周波数帯域での位相応答特性は向上する。他に、両耳間時間差の計算を行う層状核細胞の周波数応答特性の実現に活動電位発生部位が大きな役割を果たすこと、マウス背側蝸牛神経核ゴルジ細胞機能が、遠心性神経によるムスカリン受容体および顆粒細胞からのII群代謝調節型グルタミン酸受容体で活性化されるGIRKの活性化で抑制されることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)