2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治紀 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30126015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 孝広 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40303812)
久場 博司 京都大学, 医学研究科, 講師 (10362469)
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Keywords | 聴覚 / 同時検出 / 音源定位 / 特徴抽出 / 層状核 / 上オリーブ核 / 音圧 / 両耳間時間差 |
Research Abstract |
両耳に位相の異なる音刺激を与え、ニワトリ層状核から単一神経活動を記録した。層状核の神経細胞は両耳間時間差に応じて神経活動を変える。その周期は神経細胞の周波数帯に応じて異なり、低い周波数帯の神経細胞では長く、高い周波数帯では短い。さらに、ITD応答は音圧に応じて変わり、しかも音圧の影響は周波数帯により著しい違いがあった。左右音の位相が合うbest-ITDでは、音圧が上がるに従い周波数帯によらず発火頻度が増大したが、位相が180度ずれるworst-ITDでは音圧に対する応答が異なった。その結果、低い周波数帯では、ITDに応ずる発火頻度のコントラストは音圧が高い程大きくなり、高い周波数帯では、適当な音圧でコントラストが最大となり、その後音圧が更に上昇する事でコントラストは失われた。 低周波数帯におけるコントラストの増大は上オリーブ核(SON)の破壊により消滅した。上オリーブ核は音の強度情報を角状核(NA)から受け、層状核NL、大細胞核NMそして角状核NAに抑制性の神経投射をする。また、NLにおけるVGAT(Vesicular GABA Transporter)免疫染色像は高い周波数帯に較べて低い周波数帯に非常に多くのGABA陽性神経終末像を示した。さらにSONからの投射軸索も低い周波数帯に多く分布した。MNからの両側性興奮入力および音圧に比例したSONからの抑制入力を加えた神経回路の計算モデルでは、音圧に依存するSON活動によって、NL神経細胞の位相応答性が鋭くなり時間差検出感度が上昇する事が示された。以上の実験は、音圧情報を利用する事によって低い周波数帯での両耳間時間差検出感度を高める神経調節機構がトリ層状核に存在し、音源定位を実現する神経回路機構として機能する事を明らかにした。
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Research Products
(5 results)