2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大森 治紀 Kyoto University, 医学研究科, 教授 (30126015)
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Keywords | 音源定位 / 外側毛帯核 / 両耳間音圧差 / 位相差 / 方位選択性 / 角状核 / シナプス / 特徴抽出 |
Research Abstract |
ヒヨコ個体を用いて、両耳間音圧差の処理機構を外側毛帯各で解析した。外側毛帯核は左右の音圧差を処理する。脳での記録側とは対側の耳に加えた音刺激に応じて発火頻度が増大する。同側耳への音刺激は角状核でとらえられ、体側の外側毛帯核に興奮性に投射される。これらの音情報は対側の外側毛帯核を介して同側の外側毛帯核の発火活動を抑制する。この結果外側毛帯核では左右の音圧差が計算処理される。さらに外側毛帯核の神経細胞の両耳間音圧差に応じた神経活動は位相差による修飾を受ける。多くの細胞では位相差が加わる事によって発火頻度が増加する。さらに同側音による抑制に強弱の違いがあり、抑制を強く受ける細胞は両耳間音圧差がほぼ無い状態でも強く抑制されている。これは対側音が大きくなる事で発火頻度が増大するが同側音が大きくなっても発火頻度は低いままである事から、対側耳が優位の方位選択性を持つ。抑制が弱い細胞の場合、同側音がある程度強い両耳間音圧差で始めて発火が抑制され発火頻度が下がる。結果として正面に近い音源で両耳間音圧差が少ない位置を基準として音源が正面から左右にわずかにずれた場合に、記録側から対側へずれたときの発火頻度の増大分と同側にずれた場合の減少分は同等であり、特に音源のずれに対する感度に違いは無い。しかし、自然界では音源のずれは常に音圧差と時間差すなわち位相差を生ずる。音源が正面にあるときの位相差はゼロであり、音源が正面からずれる程度に応じて位相差が加わる。位相差が加わったときの発火頻度は位相差がゼロの場合に比べて上昇する事から、全ての外側毛帯核神経細胞に音源移動の感度に方向選択性が生じ、対側への音源移動に対する感度が増す。結果として、位相差によって修飾される特性を持つ事が、外側毛帯核神経細胞の方位選択性の感度を増大させる。これは頭が小さい事によって制限される両耳間での小さな情報量の違いを補償するメカニズムとしてトリでは働く事を明らかにした。
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Research Products
(4 results)