2005 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質の層・領野構造形成に及ぼす入力線維の役割に関する研究
Project/Area Number |
17023030
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 亘彦 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (00191429)
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Keywords | 大脳 / 層構造 / 領野構造 / ネトリン受容体 / 視床 / 軸索枝分かれ / 細胞分化 / 神経活動 |
Research Abstract |
大脳皮質の層・領野構造はその細胞構築の基盤であり、脳形成の原理を内包している。従来、大脳皮質における細胞分化や回路形成の過程で、内因的な要因に加えて視床軸索や神経活動などの外因的要因が重要な役割を果たすことが示唆されてはいるものの、そのメカニズムについてはほとんど明らかにされていない。本研究では、この問題を解明することを目指した。 これまでに視床皮質軸索の標的層に発現する遺伝子の探索を行い、細胞表面分子や転写調節因子を含む遺伝子群が発生期大脳皮質2/3-4層に限局して発現することを見出しているが(Zhong et al.,2004)、中でもunc5h4(netrin受容体の新規分子)の発現は4層への限局が明瞭である。この発現パターンと領野の区分との関連性について詳細に調べた。その結果、視覚性、体性感覚性の視床から直接強い入力を受ける皮質領野に一致してunc5h4の発現が不連続に強いことが示された。このことは、視床線維との相互作用によって皮質細胞の分化や結合性が制御される可能性を示唆するものである。 第2に、視床皮質軸索や皮質内回路を介する神経活動の関与を調べるために、視床-大脳共培養系にナトリウムチャネルやグルタミン酸受容体のブロッカーを加えて培養し、視床皮質投射の結合パターンを解析した。その結果、いずれの場合も視床皮質軸索の枝分かれが対照群に比べて減少するとともに、4層での特異性が著しく低下することが明らかになってきた。このことは、層特異的な神経回路形成に必要な皮質細胞でのリガンド分子や視床皮質軸索上の受容体分子の正常な発現に神経活動が関与することを示唆している。
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Research Products
(3 results)