2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17023037
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
嶋村 健児 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70301140)
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Keywords | 神経発生 / パターン形成 / 領域特異性 / 細胞移動 / 神経核 / 視床 / 組織構築 / ラジアルグリア |
Research Abstract |
神経核構造の形成機構の解明を目的とし、視床をモデルシステムとして神経核前駆細胞の特異性決定と、神経核形成の形態形成機構の解明を行った。これまでに、Sox14発現ニューロンは、誕生地が視床原基の腹側境界部に厳密に規定されること、これらのニューロンはその後特徴的な移動経路を経て、視床の辺縁部に位置する神経核となることを示した。視床原基の腹側に隣接する基板から放出される分泌因子ソニックヘジホッグ(Shh)の作用によって、形質の異なる神経細胞が基板からの距離に応じて誕生する。このうちSox14、Six3を発現する神経細胞は視床内境界に沿って背側に向かって移動し、視床原基の前縁部に配置する。この特徴的な細胞移動は、移動経路の局所環境に依存しており、またここに誕生する神経細胞の形質に依存している。この経路に移動に先だって発現するShhに注目し、細胞の誘因活性について検討を行った。その結果、これらの転写因子を発現する神経細胞はShh依存的にzliを背側に向かって移動することがわかった。さらに、Hes変異マウスでは視床内境界の形成が不全となり、Shhの発現を欠失するが、神経核前駆細胞の分布に異常が生じることを見いだした。このマウス由来の組織を用いてShhの関与を検証している。また、Shhがいわゆる誘導因子として直接作用するか否かについては現在検討中である。さらに発生が進むと、Six3発現細胞はzli付近にとどまるのに対し、Sox14を発現する神経細胞は視床原基の表層を後方へ移動を開始し、最終的に抑制性のインターニューロンからなる神経核を形成する。この移動に関してもShhの関与を示す結果を得ているが、その詳細については現在解析中である。 これまでに、Shhを発現するzliはローカルシグナリングセンターとしてパターン形成上の役割に関心が集まっているが、これらの結果は、神経核前駆細胞の細胞移動を通じて複雑な神経核の立体配置を制御するというzliの形態形成上の役割を示している。
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Research Products
(1 results)