2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成の動態を制御する新規細胞間シグナルの解析
Project/Area Number |
17024006
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 和子 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
塩見 健輔 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 講師 (00311598)
|
Keywords | 脳・神経 / 発生・分化 / 糖鎖 / 脂質 / 神経科学 |
Research Abstract |
神経回路形成過程において、神経細胞は、分化、軸索ガイダンス、シナプス形成のシグナルを受容する。本研究は、この過程に関与すると考えられるスルファターゼ遺伝子(SulfFP1とSulfFP2)とオートタキシン遺伝子に注目し、神経回路形成の動的な制御機構を明らかにすることを目的としている。 ヘパラン硫酸は、種々の細胞増殖因子や軸索ガイダンス分子と結合し、シグナル伝達において重要な役割を担う。SulfFPは、ヘパラン硫酸内部の6-硫酸を中性pHで特異的に分解するエンドスルファターゼ活性を持つことから、ヘパラン硫酸の硫酸化パターンを変化させ、ヘパリン結合性分子の情報伝達を制御する可能性を持つが、その生理的な役割は不明である。そこでノックアウトマウスを作成した結果、SulfFP1またはSulfFP2の単独破壊では大きな異常が認められなかったが、ダブルノックアウトマウスは生後直ぐに死亡した。脳の異常を調べたところ、特定の神経走行に特徴的な異常が認められた。更に、ノックアウトマウスのヘパラン硫酸組成を解析した結果、6-硫酸を含む二糖単位が増加していた。以上より、SulfFPが作り出すヘパラン硫酸の硫酸化パターンが、正常な神経回路形成に必要であることが明らかとなった。 オートタキシンは、細胞外でリゾフォスファチジン酸を合成する酵素であり、細胞増殖、分化、生存、移動などを制御すると考えられるが、神経発生や神経機能における働きは不明である。オートタキシンノックアウトマウスは、卵黄嚢の血管形成不全により胎生9日頃に死亡するため、神経発生については検討できなかった。そこで、オートタキシンfloxedマウスを作成し、Nestin-Creトランスジェニックマウスとの交配により、脳特異的にオートタキシンを破壊する実験を始めた。
|
Research Products
(6 results)