2007 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成の動態を制御する新規細胞間シグナルの解析
Project/Area Number |
17024006
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 和子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
塩見 健輔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00311598)
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Keywords | ヘパラン硫酸 / スルファターゼ / オートタキシン / LPA / 神経回路 |
Research Abstract |
発生期に、神経細胞は、分化誘導、軸索ガイダンス、シナプス形成を制御するシグナルを受容し、機能的な回路網を作り上げる。本研究は、スルファターゼ遺伝子(SulfFP1とSulfFP2)とオートタキシン遺伝子に注目し、糖鎖と脂質メディエーターを介した神経回路形成の動的な制御機構を解明することを目的としている。 SulfFP1、SulfFP2単独ノックアウトマウスでは大きな異常が認められなかったが、組織から抽出したヘパラン硫酸の二糖組成を解析したところ、ホモマウスで6-硫酸を含む三硫酸化された二糖単位の割合が増加していた。成獣臓器毎に三硫酸化された二糖単位の増加率が異なり、SulfFP1ホモマウスでは正常組織でのSulfFP1の発現量が多い組織ほど増加率が高かったが、SulfFP2ホモマウスでは正常組織でのSulfFP2の発現量と増加率に相関が見られなかった。従って、SulfFP1とSulfFP2で活性の調節や機能に違いがあると考えられた。一方、ダブルノックアウトマウスは生後直ぐに死亡し、特定の神経軸索走行に異常が認められた。この異常は、電気穿孔法でSulfFP cDNAを導入することにより回復可能であったが、酵素活性部位に変異を持つcDNAでは回復が見られなかった。従って、SulfFPが働いて特定の硫酸化パターンを持つヘパラン硫酸を作り出すことが正常な神経回路形成に必要であると考えられた。 オートタキシンノックアウトマウスは、卵黄嚢の血管形成不全により胎生8〜9日頃に死亡する。この時期にオートタキシンを多量に発現する卵黄嚢臓側内胚葉細胞を調べたところ、細胞内小胞や大型リソソームに異常が見られた。更に、脳特異的オートタキシンノックアウトマウスが成獣まで成長し、神経系でオートタキシンの発現が消失していることを見出し、今後、オードタキシンの成獣脳における役割を明らかできることを明らかにした。
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Research Products
(14 results)