2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路形成の動態を制御する新規細胞間シグナルの解析
Project/Area Number |
17024006
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桝 正幸 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20243032)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝 和子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (50344883)
塩見 健輔 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (00311598)
|
Keywords | 脳・神経 / 発生・分化 / 糖鎖 / 脂質 / 神経科学 |
Research Abstract |
発生期に、神経細胞は、分化誘導、軸索ガイダンス、シナプス形成を制御するシグナルを受容し、機能的な回路網を作り上げる。本研究は、ヘパラン硫酸の6位を脱硫酸化するスルファターゼ遺伝子(SulfFP1とSulfFP2)と細胞外でリゾフォスファチジン酸を合成するEnpp2遺伝子に注目し、糖鎖と脂質メディエーターを介した神経回路形成の動的な制御機構を解明することを目的とした。 SulfFP1、SulfFP2単独ノックアウトマウスでは大きな異常が認められなかったが、ダブルノックアウトマウスは生後直ぐに死亡し、皮質脊髄路の形成に異常が認められた。この異常は、電気穿孔法でSulfFP cDNAを視床下部から中脳に導入することにより回復可能であり、この領域の脳室帯で両遺伝子の発現が多いことから、皮質ニューロン軸索が伸長する経路で、SulfFPが作り出す特定の硫酸化パターンを持ったヘパラン硫酸が正常な皮質脊髄路形成に必要であると考えられた。更に、SulfFPによるヘパラン硫酸リモデリングにより影響を受け、皮質ニューロンの誘導に関わる候補分子として、反発性の軸索ガイダンス分子を同定した。 Enpp2ノックアウトマウスは、卵黄嚢の血管形成不全により胎生8~9日頃に死亡した。この時期にオートタキシンを多量に発現する卵黄嚢臓側内胚葉細胞を調べたところ、リソソーム形成に異常が見られ、この異常がRho-ROCK-LIMKシグナルの低下によることを明らかにした。更に、脳特異的オートタキシンノックアウトマウスを作成し、神経系でオートタキシンの発現が消失していること、ある一部のニューロンで形態異常があることを見出した。
|
Research Products
(11 results)