2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの感覚行動から探る高次神経機能の分子機構
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17024023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 郁恵 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90219999)
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Keywords | 感覚神経細胞 / 温度受容 / 温度走性 / Cエレガンス / 神経回路 |
Research Abstract |
1)イノシトールモノフォスファターゼをコードするttx-7遺伝子の変異体は温度走性異常を示し、温度走性神経回路上のRIA介在ニューロンにおいて成虫期に発現する事が温度走性に必要であった。ttx-7変異体のRIAでは、シナプス小胞タンパクsynaptobrevinとGFPの融合タンパクの局在異常が観察され、この異常は、RIAで成虫期にTTX-7を機能させる事によって回復した。温度走性異常と局在異常はイノシトールモノフォスファターゼ阻害剤であるLiClの野生型成虫への投与により再現され、イノシトールの同時投与やRIAにおけるTTX-7の過剰発現によって抑制されたため、LiClは、RIAにおいてTTX-7によるイノシトールの生産を阻害する事によって、シナプス小胞の局在異常と温度走性異常を引き起こしていると考えられた。 2)線虫は、餌である大腸菌を与えられていた飼育温度に誘引されるが、飢餓体験飼育温度を忌避する。飢餓体験温度を忌避せず常に飼育温度に誘引される異常を示す変異体の解析から、インシュリン・シグナル経路が、飼育温度と餌条件の関連付けに重要であることを明らかにした。 3)カルシニューリンTAX-6の変異体は温度と餌条件の連合学習行動に異常を示した。TAX-6変異体の連合学習異常は介在ニューロンAIZとRIAでTAX-6を発現させることによりレスキューされた。AIZとRIAは化学シナプスで接続し、温度走性神経回路を構成していることから、温度と餌条件の連合学習にはAIZ-RIA神経回路におけるカルシニューリンの機能が必須であることがわかった。カメレオンを用いたAIZの活性のイメージングを行った結果、温度と飢餓の学習後にAIZの活性低下が測定されたが、TAX-6変異体では活性低下が起きなかったため、カルシニューリンがAIZの活性を負に制御することで連合学習を制御していると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Identification of guanylyl cyclases that function in thermosensory neurons of Gaenorhabditis elegans2006
Author(s)
Inada, I., Ito, H., Satterlee, J., Sengupta, P., Mataumoto, K., Mori I.
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Journal Title
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[Journal Article] Maintenance of neuronal positions in organized ganglia by SAX-7, a Caenorhabditis elegans homologue of L12005
Author(s)
Sasakura, H., Inada, H., Kuhara, A., Fusaoka, E., Takemoto, D., Takeuchi, K., Mori, I.
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Journal Title
EMBO Journal 24
Pages: 1477-1488
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[Journal Article] Genetic Control of Temperature Preference in the Nematode Caenorhabditis elegans.2005
Author(s)
Mohri, A., Kodama, E., Kimura, K.D., Koike, M., Mizuno, T., Mori, I
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Journal Title
Genetics 169
Pages: 1437-1450