2006 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansの感覚行動から探る高次神経機能の分子機構
Project/Area Number |
17024023
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森 郁恵 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (90219999)
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Keywords | 感覚神経細胞 / 温度受容 / 温度走性 / Cエレガンス / 神経回路 |
Research Abstract |
飢餓体験温度を忌避せず常に飼育温度に誘引される異常を示す変異体の1つは、インシュリンホモログをコードするins-1遺伝子に欠損を持つins-1変異体であった。解析を進めた結果、ニューロンから分泌されるINS-1が温度走性を制御する介在神経上のinsulin-likeシグナル経路分子に対して拮抗的に作用する可能性が示唆された。 線虫カルシニューリン変異体tax-6は、温度と餌条件の関連付け行動に異常を示し、この異常は、温度走性神経回路内にあり、化学シナプスで接続している2対の介在ニューロンAIZとRIAでカルシニューリンが機能していないことに起因していた。学習時におけるAIZ-RIA介在ニューロンの活動を解析するために、cameleonを用いたカルシウムイメージングを行ったところ、野生型では温度と餌条件の連合学習後にAIZ介在ニューロンの活性低下が測定されたのに対して、tax-6変異体ではAIZニューロンの活性低下が起きなかった。従って、野生株のAIZ介在ニューロンではカルシニューリンがAIZの活性を負に制御することで連合学習を制御していることが示唆された。 温度走性異常変異体ttx-7の原因遺伝子は、イノシトールモノフォスファターゼをコードし、RIA介在ニューロンにおいて成虫期に発現する事が温度走性に必要である事がわかった。シナプス小胞タンパクsynaptobrevinとGFPの融合タンパクの局在を観察したところ、ttx-7変異体のRIAにおいて局在異常が観察され、この異常は温度走性異常と同様に、RIAにおいて成虫期にTTX-7が機能する事によってレスキューされた。温度走性異常と局在異常はイノシトールモノフォスファターゼ阻害剤であるLiClの野生型成虫への投与によって再現され、イノシトールの同時投与あるいはRIAにおけるTTX-7の過剰発現によって抑制された。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Insulin-like signaling and the neural circuit for integrative behavior in C. elegans.2006
Author(s)
Kodama, E., Kuhara, A., Mohri-Shiomi, A., Kimura, K.D., Okumura, M., Tomioka, M., Iino, Y., Mori, I.
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Journal Title
Genes Dev 20
Pages: 2955-2960
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[Journal Article] Inositol Monophosphatase regulates localization of synaptic components and behavior in the mature nervous system of C. elegans.2006
Author(s)
Tanizawa, Y., Kuhara, A., Inada, H., Kodama, E., Mizuno, T., Mori, I.
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Journal Title
Genes Dev 20
Pages: 3296-3310
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[Journal Article] Identification of guanylyl cyclases that function in thermosensory neurons of Caenorhabditis elegans.2006
Author(s)
Inada, H., Ito, H., Satterlee, J., Sengupta, P., Matsumoto, K., Mori, I.
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Journal Title
Genetics 172
Pages: 2239-2252
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