2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024027
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
影山 龍一郎 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80224369)
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Keywords | 境界 / コンパートメント / モルフォゲン / 放射状グリア / プロニューラル遺伝子 / Hes1 / オシレーション |
Research Abstract |
発生途中の神経系は、境界によっていくつものコンパートメントに区切られる。境界は、モルフォゲンを分泌することによって、コンパートメント内の領域特異的な細胞分化を制御する。境界は特殊な放射状グリア細胞により構成されるが、コンパートメント内の放射状グリア細胞に比べて一般に増殖能が低く、またニューロンにも分化しないことが知られている。しかしながら、コンパートメントと境界の構成細胞の性質の差を決める分子機構についてはよくわかっていない。今回、Hes1の発現モードの違いがコンパートメントと境界の構成細胞の性質の差を決めていることを見出したので報告する。 コンパートメント内の放射状グリア細胞ではHes1の発現量は様々であった。リアルタイムモニターシステムを用いてHes1の発現を解析したところ、ダイナミックに変動することがわかった。これらの細胞ではプロニューラル遺伝子であるMash1やNgn2の発現が見られた。一方、境界内の放射状グリア細胞では常に高レベルにHes1が発現しており、プロニューラル遺伝子の発現はまったく見られなかった。コンパートメントの細胞にHes1を持続発現させるとニューロン分化が抑制されるとともに、細胞増殖能が低下し、境界細胞の性質を獲得した。以上の結果から、Hes1の発現が高レベルで持続すると増殖能やニューロンへの分化能を抑制して境界細胞になり、コンパートメントの放射状グリア細胞の維持にはHes1の発現オシレーションが重要であることが示唆された。
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