2005 Fiscal Year Annual Research Report
CNR/プロトカドヘリン分子群を用いた脳システム形成と制御の解析
Project/Area Number |
17024034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 敬浩 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助手 (40297015)
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Keywords | カドヘリン / 多様性 / 遺伝子クラスター / 神経回路 / 行動 / ゲノム / シナプス / Fyn |
Research Abstract |
脳神経系は多様化した細胞種が高度に組織化されたシステムである。本研究では、この多様化した神経細胞種を生み出す分子メカニズムを明らかにする目的で、脳神経系で発現する多様化受容体型分子群であるCNR/プロトカドヘリンに注目して研究を進めている。 本年度は、マウス小脳プルキンエ細胞を用いた単一神経細胞レベルでのCNR/プロトカドヘリンαアイソフォームの発現解析を行い、各αアイソフォームは対立染色体において独立した発現制御を受けていることが明らかとなった。また、単一プルキンエ細胞において複数のαアイソフォームの発現が認められ、同種のプルキンエ細胞において個々の細胞で異なった組み合わせでのαアイソフォームが発現していることが明らかとなり、個々の神経細胞の個性をもたらす多様化膜分子群であることが示唆された。さらに、同じ1個のプルキンエ細胞においても、対立遺伝子ごとに独立したαアイソフォームを発現している遺伝子発現制御は、今までに知られている多様化分子群の発現制御とは異なり、脳神経系における新たな遺伝子制御機構であることが示唆された。この新たな遺伝子制御機構は、CNR/プロトカドヘリンの差次的な発現制御をもたらすものであり、個々の神経細胞の多様化をもたらす新たな分子メカニズムであると考えられる。また、CNR/プロトカドヘリンαアイソフォームの遺伝子変換マウス作製に成功し、このマウスの脳神経系での機能異常解析をすすめた。その結果、CNR/プロトカドヘリンは、神経回路形成や行動制御に必要な多様化膜分子群であることが明らかとなった。
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