2008 Fiscal Year Annual Research Report
CNR/プロトカドヘリン分子群を用いた脳システム形成と制御の解析
Project/Area Number |
17024034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 健 Osaka University, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 敬浩 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 助教 (40297015)
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Keywords | カドヘリン / 遺伝子クラスター / 多様性 / 神経回路 / ノックアウトマウス / 神経細胞 / 遺伝子制御 / セロトニン |
Research Abstract |
本研究では、脳神経系で発現する多様化膜分子群CNR/プロトカドヘリンファミリーに注目し、脳システム形成における神経細胞の多様化や神経回路形成における新たな分子メカニズムの解明を目的としている。その中で、1)個々の神経細胞における差次的遺伝子発現制御機構の解明。2)脳の形成過程におけるクラスター型プロトカドヘリンの機能解析を行っている。現在、プロモータ領域のDNAメチル化パターンによる制御の関与、cis-elementの探索、クラスター構造変換マウス作製による解析を行っている。本年度は、DNAメチル化パターンを制御する因子とエンハンサー領域の解析を行い、あたらな制御因子、エンハンサー領域を明らかにすることができた。更に、Pcdh-a, Pcdh-b, Pcdh-gの遺伝子クラスターそれぞれの遺伝子クラスターを欠損させたマウスの作製に成功し、表現型の異常の解析を進めている。本年度は、特にPcdh-a遺伝子変換マウスの解析について論文発表を行い、正確な嗅神経神経回路形成にPcdh-aが関わっていることを明らかにした。さらに、遺伝子変換マウスを用いた行動解析を行いPcdh-a恐怖条件付け学習、海馬体におけるセロトニン量の調節に関わっていることを明らかにした。また、Pcdh-aが縫線核のセロトニン神経細胞で強く発現していることを明らかにし、Pcdh-a欠損マウスでのセロトニン神経形成異常についても明らかにすることができた。また、別の遺伝子クラスターであるPcdh-gを欠損させたマウスは生後すぐに死亡してしまうことを確認した。これまでに、Pcdh-aとPcdh-gのコンディショナル遺伝子欠損マウスの作製に成功しているので、今後はこれらのマウスを用いた脳領域や発生段階ごとのプロトカドヘリン遺伝子群の役割を明らかにして行きたいと考えている。
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