2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経分化と可塑性の転写後レベルにおける調節メカニズム
Project/Area Number |
17024051
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 栄之 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60160694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 ジェイムス洋尚 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (90338020)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 神経幹細胞 / 神経分化 / p21Cipl / Hu / Hzf / 翻訳調節 / IP3受容体 |
Research Abstract |
Huタンパク質の機能解析 Huと複合体を形成する因子の一つとして我々が精製・同定したNF45は,Double-strand RNA結合タンパク質p110(NF90)と結合することが報告されている。今回我々は用いてHuとNF45/p110が3者複合体を形成することを明らかにした。NF45がp110のN末端に結合するのに対して、HuはRGG boxを含むC末端と結合し、結果的にp110を介して3者複合体が形成されることがわかった。一方、NF45およびp110それぞれの合成タンパク質に対する特異的抗体を作成した。マウス胎児切片を用いて免疫染色を行った結果、NF45、p110ともにcortical plateにおいて高発現し、ニューロンにおいてHuと共局在することが示された。これらの抗体および抗Hu抗体を用いてマウス胎児大脳皮質抽出液より免疫沈降を行い、in vivoにおいてもHu/p110/NF45複合体が形成されることを明らかにした。 Hzfの機能解析 Hzfノックアウトマウスに見られる運動異常等ついてより詳細な行動解析を行った結果、自発運動の低下、姿勢維持異常、回転棒試験における運動異常が認められた。Wire-hanging testの結果はほぼ正常であったことから、運動異常は筋力の低下によるのではなく、中枢神経系の障害によるものであることが示された。また連合学習の一つである瞬目反射条件付けにおいても有意な異常が観察された。この結果はHzfノックアウトマウスが小脳依存的運動学習を担う神経回路のどこかに障害があることを示している。一方、Hzfは海馬CA1,2領域の神経細胞にも発現していることが知られているが、Ym-aze taskなど海馬依存的空間学習には異常が認められなかった。以上の結果から、Hzfが小脳依存的運動学習の形成過程に重要な働きを担っていることが明らかとなった。
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