2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経分化と可塑性の転写後レベルにおける調節メカニズム
Project/Area Number |
17024051
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡野 栄之 Keio University, 医学部, 教授 (60160694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡野 ジェイムス洋尚 , 医学部, 准教授 (90338020)
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Keywords | RNA結合タンパク質 / 神経幹細胞 / 神経分化 / p21Cip1 / Hu / Hzf / 翻訳調 / Musashi |
Research Abstract |
HuCノックアウトマウスの解析 生後7ヶ月で下肢運動機能の異常及び身体の震え、歩行障害を呈するHuCノックアウトマウスの詳細な解析を行った。このマウスにおいてプルキンエ細胞の軸索がビーズ状の結節を呈する形態異常が観察された上、プルキンエ細胞から小脳核に投射された軸索の数が有意に減少していた。電子顕微鏡により精査したところ、変性した軸索には大量のミトコンドリアが貯留しており、軸索におけるミトコンドリア輸送に異常があることを示唆された。次に、野性型・HuC KOマウス小脳由来mRNAを使って、RIP-Chip解析を行い、in vivoでHuCに結合しているRNAの同定を試みた。KOマウスにおいて特異的に減少する標的候補の中に軸索輸送に関わる遺伝子が複数あることから、現在、これらについてマウス小脳における発現解析を行っている。以上の結果は、HuCがプルキンエ細胞の軸索の機能維持において極めて重要な機能を持つことを強く示唆している。 Musashi2ノックアウトマウスの解析 Musashi2(Msi2)欠損マウスは有意な感覚神経障害を伴っており、組織学的解析の結果、背側神経節から脊髄への感覚神経細胞の線維が減少していることが明らかになった。標的RNAのスクリーニングにより、Msi2はPleiotrophin(Ptn)mRNAの3'非翻訳領域に特異的に結合し、その発現を転写後レベルで促進することがわかった。さらに遺伝子欠損マウス由来細胞では軸索進展作用が低下していること、電気穿孔法にてMsi2を強制発現すると軸索進展能が回復すること、そしてPtnに対するsiRNAの導入によってMsi2による機能回復が再び失われることが明らかになった。以上のことから、Msi2およびPtnが感覚神経のネットワーク形成および末梢神経障害後の回復過程に重要な役割を果たしていることが示された。
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[Journal Article] Kspot, a novel ubiquitin ligase, regulates synaptic activity.2010
Author(s)
Tada H., Okano HJ., Takagi H., Shibata S., Matsumoto M., Yao I., Saiga T., Nakayama KI., Kashima H., Takahashi T, Setou M, Okano H.
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Journal Title
J.Biol.Chem. 285(6)
Pages: 3840-3849
Peer Reviewed
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