2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024056
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野田 昌晴 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 教授 (60172798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 武史 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助手 (90360338)
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Keywords | 体液恒常性 / 体液塩濃度 / 塩分・水分摂取 / Naチャンネル / ナトリウムセンサー / グリア細胞 |
Research Abstract |
本研究では体液Naレベル検出の脳内メカニズムを明らかにすることを目標としている。 本年度の研究成果は以下の通りである。 1)中枢におけるNaレベルセンサー、Na_xの発現細胞の同定 免疫電子顕微鏡法により、脳室周囲器官である脳弓下器官と終板脈管器官において、Na_xは上衣細胞と星状細胞から伸長したニューロン周囲の薄膜状突起に発現していることが判明した。脳弓下器官から単離したグリア細胞においてNaイオン・イメージングを行なったところ、細胞外Na濃度の増加に応答してNaイオンが流入することが確認された。このように、Na_xチャンネルを発現するグリア細胞がまず体液Naレベルの生理的増加を検出し、グリア細胞内のNaレベルの上昇が次にニューロン活動を制御する機構が示唆された。 2)Naレベルセンサー、Na_xの細胞内領域と結合する分子の探索 Na_xの細胞内領域と相互作用する分子を探索した。成体マウスの後根神経節からcDNAライブラリーを作成し、酵母ツー・ハイブリッド法により結合分子をスクリーニングし、10余りの結合候補分子を見出した。その中には、細胞骨格蛋白、イオンポンプ、ホスファターゼ、Ca^<2+>結合蛋白、モーター蛋白、プロテアソームサブユニット、細胞内信号伝達蛋白、細胞質酵素等が含まれていた。 3)Naレベルセンサー、Na_xによる細胞代謝制御の可能性に関する検討 Na_xの開口により細胞内Na濃度が増加すると、近傍のNa^+,K^+-ATPaseの活性が亢進し、ATP消費量が増加すると共に、それを補うためにグルコースの取り込みと代謝が亢進すると考えられる。グルコース・イメージング法を用いて脳弓下器官より単離したグリア細胞を解析したところ、Na_x陽性細胞はNa依存的にグルコース取り込みを増加させることが明らかになった。また、Na_xノックアウトマウスと野生型マウスからそれぞれ作成した脳弓下器官の急性スライスを用いて同様の実験を行ない、野生型マウス特異的にNa濃度の上昇に依存したグルコース取り込みの増加が起こることを確認した。
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