2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17024056
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
野田 昌晴 National Institute for Basic Biology, 統合神経生物学研究部門, 教授 (60172798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 武史 基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, 助教 (90360338)
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 神経生理学研究部門, 准教授 (30250252)
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Keywords | 細胞・組織 / 神経科学 / 脳・神経 / 生理学 / 体液恒常性 |
Research Abstract |
動物は脳において体液中のNaレベルと浸透圧を常にモニターしており、その情報に基づいて、塩分、水分の経口摂取と腎臓における排泄・再吸収の制御を行っている。我々はこれまでに体液中のNa濃度の上昇を検知するセンサーがNa_xチャンネルであり、その場所が脳室周囲器官であることを明らかにしてきた。脳弓下器官において、Na_xは、GABAニューロンを取り巻くグリア細胞に発現していた。本年度は、グリア細胞が検知したNa濃度上昇の情報をニューロンに伝達する仕組み、すなわち、グリア細胞が神経細胞の活動を制御する仕組みについて詳細な解析を行った。 グリア細胞における:Na_xはNa^+/K^+-ATPaseと物理的、機能的にカップルしており、細胞外液のNaレベルが上昇するとNa_xが開口し、流入したNa^+イオンを汲み出すために多量にATPが消費される。このATPを補うためにグリア細胞の嫌気的糖代謝活性が上昇し、その結果乳酸が産生され、細胞外へ放出される。脳弓下器官のGABAニューロンは通常状態で4H_zで自家発火しているが、乳酸によってこのGABAニューロンが活性化することが判明した。GABAニューロンは乳酸を取り込んだ後、それを代謝することによってATP産生を活性化し、上昇した細胞内ATPがK_ATPチャンネルに作用し閉口させる。これが脱分極を誘導するため、発火頻度の上昇につながっていると考えられる。 これに加えて、脳弓下器官からの投射ニューロンの投射先の解析、浸透圧センサー分子の解析、また高Na血症患者のNa_x異常の可能性について検討した。
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