2005 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス後膜の形態と神経伝達物質受容体局在の高解像度解析
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17024060
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
深澤 有吾 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 助手 (60343745)
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Keywords | 神経可塑性 / 棘シナプス / グルタミン酸受容体 / 海馬 / 電子顕微鏡 / レプリカ標識法 |
Research Abstract |
神経細胞膜上の分子局在の解析には電子顕微鏡レベルの観察が必要だが、従来法のpre-embedding法や、post-embedding法では、細胞膜上の分子と細胞質中の分子を見分けることは出来ず感度も低く定量性に欠けるため、シナプス機能を分子レベルで定量的に理解する事は不可能であった。そこで、細胞膜上の分子局在を電子顕微鏡レベルで2次元的に定量的に解析できるSDS処理凍結割断レプリカ免疫標識法(SDS-FRL法)を脳組織に適用し、電子顕微鏡レベルで細胞膜上のAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)の局在を定量的に解析できるよう最適化し、海馬CA1錐体細胞。歯状回顆粒細胞樹状突起上の局在解析を行った。1)はじめに各AMPA受容体サブユニット欠損動物を入手し、レプリカ膜上での抗GluR1,抗GluR2,抗GluR3及び抗GluR2/3抗体の標識特異性を確認した。2)また、CA1野錐体細胞や歯状回顆粒細胞の樹状突起上には膜内粒子の凝縮を伴う受容体クラスタが高密度に分布し、レプリカ膜上のシナプスの同定に従来用いられてきた膜内粒子の凝集のみでは不十分と考えられたので、NMDA受容体標識を同時に行うことを検討し、この標識がレプリカ膜上のシナプスの同定に有効であることを明らかにした。LTP誘導後のAMPA受容体局在解析の結果、誘導後45分の時点ではシナプス内AMPA受容体の密度増加が観察され、LTP誘導実験によりAMPA受容体密度の低いシナプスがLTP誘導により増強されることを示唆する結果を得たが、GluR1サブユニットのシナプスへの輸送はまだ起こっていないことを示唆する結果を得た。3)レプリカ膜面の細胞種の同定に用いるレンチウィルス遺伝子導入技術も確立し、現在はレプリカ膜上で標識可能なタグの選定と凍結割断時の分子分配様式の解析を行っている。
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Research Products
(3 results)