2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17025016
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
西川 徹 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00198441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直樹 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (70312296)
柏 淳 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10301227)
石井 澄和 東京医科歯科大学, 医学部, 教務職員 (20106660)
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Keywords | 統合失調症 / methamphetamine / phencyclodine / 生後発達 / 大脳新皮質 / 視床 / D-serine / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
統合失調症様異常発現薬によりラットまたはマウス大脳新皮質で臨界期以降に発現誘導される、統合失調症関連候補遺伝子として、昨年度以前に検出したmrrt1(methamphetamine(MAP)-responsive transcript 1)とprt1(phencyclidine(PCP)-responsive transcript 1)の他に、mrrt3およびprt4を新たに同定した。prt1に関しては薬理学的解析を続け、統合失調症との関連を支持する所見を得た。mrt1は、統合失調症モデル動物の前脳部で発現が増加するため、前脳部選択的にmrt1を過剰発現するマウスを作製し病態を解析中である。また、精神疾患患者血液DNAを用い、mrrt1とprt1のヒト相同遺伝子と統合失調症との関連を検討した。一方、大脳新皮質に加えて視床が、統合失調症様異常発現薬に対し臨界期までに著明な応答変化を示すことを見出し、本研究からも、統合失調症における両脳部位の重要性が支持された。視床では、臨界期以後に統合失調症様異常発現薬への異常応答を示す遺伝子prt5およびprt6を検出した。さらに、共同研究では、PCPにより発現が変化する分子として検出したTLSが、mRNAのスパインへの移送やスパインの形態調節に関与することが示唆された。 D-セリン関連分子としては、D-セリンにより選択的に発現が誘導され、脳選択的発現とD-セリンと酷似した脳内分布を示すdsr-2(d-serine responsive transcript-2)遺伝子を、ラット大脳新皮質からクローニングした。また、D-セリンの細胞内レベルや蓄積を減少させるdsm-1(d-serine modulator-1)遺伝子も単離した。現在、個体における機能を明らかにする目的で、これら遺伝子のノックアウトマウスを作製中であり、ヒト相同遺伝子の統合失調症との関連性についても検討を始めた。
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