2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経難病に関わる脳幹部および大脳基底部の神経細胞への系統的な試験管内分化系
Project/Area Number |
17025043
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
笹井 芳樹 独立行政法人理化学研究所, 細胞分化・器官発生研究グループ, グループディレクター (20283616)
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Keywords | 神経分化 / 脳発生 / ES細胞 / 大脳 / 網膜 / 視細胞 |
Research Abstract |
フィーダー細胞を用いずに、ES細胞の細胞塊を無血清下に浮遊培養ですることで、効率よく神経細胞に分化させる系をまず樹立した(SFEB法)。マーカー解析の結果、SFEB法でES細胞から産生された神経細胞はこれまで産生が困難であった大脳の前駆細胞であることが明らかになり、さらにShhを作用させることにより、この大脳前駆細胞から大脳基底核などの細胞を試験管内で分化誘導することに成功した。 本年度は大脳の変性疾患の一つであるハンチントン病の原因に関係の深い、大脳基底核の神経細胞の分化条件をさらに至適化し、Shhのシグナルの制御のタイミングを調整することで4割の細胞を基底核の前駆細胞に分化誘導することに成功した。大脳疾患の治療法開発に大きく貢献することが期待される。 このようにSFEB法によりES細胞からの前脳の分化誘導は確認されたが、小脳への分化効率は低い。小脳、橋などを含む変性疾患に関連する後脳吻側部に着目し、後方化シグナルであるWnt、Fgfを培養中期に作用させることで、細胞外シグナルによる小脳神経細胞の分化誘導系の樹立に成功した特に小脳の主要ニューロンである顆粒細胞は2割程度の効率で分化が可能となり、移植により小脳組織への組み込みも確認された。もう一つの主要ニューロンであるプルキンエ細胞(L7,カルビンジン陽性)も1%程度の低効率ではあるものの、試験管内での産生に成功した。さらに高い分化効率の条件検討のために、小脳の発生する吻側後脳特異的遺伝子マーカーを探索し、その分化モニター系を確立した。
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Research Products
(5 results)