2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17025044
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
貫名 信行 The Institute of Physical and Chemical Research, 構造神経病理研究チーム, チームリーダー (10134595)
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Keywords | ハンチントン病 / ポリグルタミン / 凝集体 / 凝集体結合蛋白 / ナトリウムチャネルβ4サブユニット / 転写調節障害 |
Research Abstract |
ハンチントン病(Huntington disease ; HD)では病因遺伝子産物の変異ハンチンチンタンパク質(htt)が多くの転写因子とin vitroで結合することから、伸長したポリグルタミン鎖が核内の転写因子と異常な相互作用を起こし、転写活性を阻害するというモデルが提唱されている。しかしながら、これまでにin vivoで変異httが転写活性を直接阻害することを示した知見はない。ナトリウムチャネルβ4サブユニット(β4)は、HDの病変部位である線条体の投射神経細胞で発現し、HDモデルマウスで最も早く発現が抑制される遺伝子の一つである。β4の発現はm患者の線条体でも著しく低下することから、β4は最も早く変異httの影響を受ける分子であり、その発現抑制はHDの病態に関与することが考えられた。我々はこれまでにβ4プロモーターの制御下でVenusを発現するトランスジェニックマウス(β4 promoter-Venus TG)を作製し、トランスジーンの発現パターンが異なるTGを得ている[Line 191:内在性β4とVenusの発現が一致する、Line 350:内在性β4とVenusの発現が一致しない]。本研究では、これらのβ4promoter-VenusTGとHDモデルマウスを交配して得たdouble TGを用い、in vivoで変異httがVenus(β4)の転写活性に与える影響にっいて検討した。4週齢のdouble TGのVenus発現量を定量RT-PCRで調べたところ、1ine 191 double TGの線条体ではVenusの発現が抑制されるが、1ine 350 double TGでは変化しなかった。次に、このような1ineによる転写抑制の違いに変異httがどのように関与しているかを細胞レベルで明らかにするため、Venusと核内に集積した変異htt(Nuclear accumulation ; NA)の蛍光強度および共局在について調べた。個々の細胞にっいて蛍光強度を測定した結果、1ine 191double TGではVenusのシグナルが低下するが、line 350 double TGでは変化しなかつた。また、line 191 double TGではほぼ100%のVenus陽性細胞がNAを含有しているのに対し、1ine 350 double TGではNAを持たないVenus陽性細胞が約20%存在した。以上の結果から核内集積に示される蛋白質凝集が転写調節に直接関与している可能性が示され、この制御の重要性が示唆された。
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Research Products
(5 results)