2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17025049
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
加藤 忠史 独立行政法人理化学研究所, 老化・精神疾患研究グループ, グループディレクター (30214381)
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Keywords | 双極性障害 / 小胞体 / WFS1 / 細胞死 |
Research Abstract |
申請者らはこれまで、双極性障害に小胞体ストレス反応障害およびミトコンドリア機能障害が関与することを示してきた。いずれも神経細胞死とのつながりが深く、パーキンソン病や糖尿病の危険因子とも重なっている。双極性障害では経過と共に病相間隔が短縮し、頻回に再発する患者では気分安定薬の効果が乏しくなることなどから、気分を調節する神経細胞群が進行性に脱落している可能性が考えられる。膵臓ランゲルハンス島の細胞脱落による糖尿病、視神経萎縮、尿崩症など多彩な症状を呈する神経変性疾患、Wolfram病では、半数近くがうつ病・双極性障害を合併する。また、以前我々のグループが双極性障害との関連を見出したXBP1の神経系細胞における標的遺伝子が、Wolfram病の原因遺伝子WFS1であることが最近判明した。従って、WFS1のノックアウトマウスは、双極性障害においてどのような神経細胞が脱落していくかを調べるのに最適な動物モデルと考えられる。そこで、WFS1ノックアウトマウスにおいて、変性が進行し、双極性障害を引き起こしている神経細胞群を同定するため、30週齢のWFS1ノックアウトマウスを還流固定後脳を摘出し、ヘマトキシリン・エオジン染色およびクリューバーバレラ染色を用いて、形態観察を行った。WFS1ノックアウトマウスの形態学的検討では、海馬錐体細胞の一部における形態学的変化が疑われた。また、GeneChipによる遺伝子発現解析では、サイトカイン受容体の遺伝子発現上昇が見出された。これらの結果から、WFS1ノックアウトマウスの海馬において、サイトカイン反応が惹起されている可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)