2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウスPiwiファミリーを介したRNAiカスケードとレトロトランスポゾンの活性化
Project/Area Number |
17026024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮川 さとみ 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助手 (90291153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | Piwi / RNAi / 精子形成 / レトロトランスポゾン |
Research Abstract |
PiwiファミリーはRNAiに重要な役割を果たしているタンパク質群である。我々はこのファミリーに属するマウスの遺伝子、Mili(Miwi like)を単離し、MILIノックアウト(MILI-KO)マウスを作製した。その結果、雄マウスでは生後10日前後から精子形成に異常が認められ、減数分裂中期以降の生殖細胞は全く形成されていなかった。このMILI-KOマウスの精巣における転写産物のマイクロアレイ解析を行ったところ、レトロトランスポゾンIAPの発現が上昇していることがわかった。さらに詳細な解析の結果、IAPのみならず、Line1の転写産物も増加していることが明らかとなった。これらのレトロトランスポゾンは、通常はプロモーター領域のCpGがメチル化されているために発現が抑制されていることが知られている。そこで、ゲノムのメチル化状態を調べたところ、MILI-KOマウスの精巣では生殖細胞特異的にこれらのレトロトランスポゾンのCpGメチル化が低下していることを見出した。通常、レトロトランスポゾンのCpGメチル化は、発生過程の生殖系列細胞において、胎仔期E12.5前後に一度消去され、精子形成過程ではE15-18にde novoのメチル化がおこることが知られている。MILI-KOマウスの生後2日目の精巣において、すでにメチル化の低下が観察されたことからMILI-KOマウスではレトロトランスポゾンのde novoのメチル化に異常があると考えられ、そのため生後の精巣においてレトロトランスポゾンの発現上昇がみられるものと考えられる。しかし、胎仔期でのDNAメチル化酵素Dnmt3LやDnmt3a2タンパク質の発現には異常はみとめられなかった。以上のことから、MILIは精子形成過程において、レトロトランスポゾンIAPやLine1のde novoメチル化に必須の分子であることが明らかとなった。
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