2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウスPiwiファミリーを介したRNAiカスケードとレトロトランスポゾンの活性化
Project/Area Number |
17026024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮川 さとみ 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助手 (90291153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | Piwi / RNAi / 精子形成 / レトロトランスポゾン / DNAメチル化 |
Research Abstract |
PiwiファミリーはRNAiに重要な役割を果たしているタンパク質群である。我々はこのファミリーに属するマウスの遺伝子、Mili(Miwi like)を単離し、MILIノックアウト(MILI-KO)マウスを作製した。その結果、雄マウスでは生後10日前後から精子形成に異常が認められ、減数分裂中期以降の生殖細胞は全く形成されていなかった。このMILI-KOマウスの精巣では、レトロトランスポゾンIAPやLine1の転写産物が増加していた。これらのレトロトランスポゾンは、通常はプロモーター領域のCpGがメチル化されているために発現が抑制されていることが知られているが、MILI-KOマウスの精巣では、精子形成過程の非常に早い段階から、これらのレトロトランスポゾンのCpGメチル化の低下が観察された。この結果は、MILI-KOはレトロトランスポゾンゲノムにおけるメチル化の成立(de novoメチル化)に重要な役割をはたしていることを示唆している。また、抗MILI抗体による胎仔精巣抽出液の免疫沈降を行ったところ、26-28塩基のsmall RNA(piRNA ; Piwi interacting RNA)がMILIと結合することを見出した。さらにその中に、レトロトランスポゾンに対する配列も含まれていることが明らかとなった。また、MILI-KOマウスの胎仔精巣中には、これらのpiRNAは存在していないことも見出した。 以上の結果は、MILIがpiRNAの形成過程、もしくは安定性にかかわっていることを示しており、また、DNAのメチル化には、塩基特異性が存在することから、MILIに結合するpiRNAが、何らかの分子機構を介して、ゲノム上のde novoメチル化の位置を決めるガイドとして、機能しているものと考えられる。
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Research Products
(2 results)