2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子デザインと人工進化の複合法で得られた新規リボザイムの更なる高機能化
Project/Area Number |
17026030
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井川 善也 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (70281087)
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Keywords | RNA / リボザイム / ポリメラーゼ / アロステリック |
Research Abstract |
分子デザインと人工進化の複合法で得られた新規なRNA酵素(リボザイム)DSLは従来の同種のリボザイムに見られない優れた特性を示す。本研究では、その特性を更に高機能化することを目的としている。本年度は、下記の二つの機能化を目的として研究を行った。 1)DSLリボザイムのポリメラーゼ・リボザイムへの高機能化 DSLリボザイムはリガーゼ活性を持つが、その活性は連結するRNA断片の両末端塩基配列の種類には依存せず、鋳型RNAとの塩基対形成のみに依存する。この特性は同種の蛋白質酵素と類似しており、また「生命の起源」において重要な役割をはたす「RNAワールド」において重要な要素であったRNAポリメラーゼ・リボザイムが持っていたと考えられる。そこで、DSLを改変しRNAポリメラーゼ・リボザイムへと改変することを試みた。 変異体の解析から、DSLリボザイムは本来の反応点の一塩基上下に置いてもリガーゼ反応を行うことが可能であった。この結果を元にして、3つの反応を連続的に行い、4つのコンポーネントを連結するRNAポリメラーゼ型DSLのデザインを行った。得られた改変型DSLポリメラーゼ・リボザイムは予想どおり、4つのコンポーネントを連結する活性を有していることが明らかとなった。 2)DSLリボザイムのアロステリック・リボザイムへの高機能化 低分子有機化合物をエフェクターとして活性が制御されるアロステリック・リボザイムは生体のアロステリック酵素のモデルシステムとして、またバイオセンサーなどへの応用面からも注目を集めている。そこで、DSLリボザイムの構造安定化ユニットと触媒ユニットに隣接して有機分子認識ユニットを連結し、分子認識ユニットへの有機分子の結合によって制御可能なアロステリックDSLリボザイムを構築した。得られた改変型リボザイムは有機分子の有無に応じて活性が完全に制御可能であった。
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