2006 Fiscal Year Annual Research Report
セレノシステイン特異的伸長因子SelBの結晶構造解析
Project/Area Number |
17026031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
前仲 勝実 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (10322752)
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Keywords | セレノシステイン / 蛋白-RNA複合体 / X線結晶構造解析 / リボソーム / 翻訳 / 伸長因子 |
Research Abstract |
セレノシステインSecは"21番目のアミノ酸"と呼ばれ、遺伝子上に巧みにコードされた特殊なアミノ酸である。mRNA上の通常終止コドンであるUGAが引き続く特殊な2次構造をもつRNA配列(SECIS)が存在するとき、UGAコドンがSecの遺伝子コードに変身し、蛋白質中に取り込まれる。その際に特殊な伸長因子SelBが必要となる。SelBは通常の伸長因子EF-Tuと異なり、セレノシステイン特異的tRNAを結合するEF-Tuに相同性の高いN末端ドメインと、SECISRNAを認識する特別なC末端ドメインを持つ。これまでに我々は4つのwinged helix(WH)様構造を有するC末端ドメインのうちmRNA結合最小ドメイン(WH3-WH4,512-634)とRNAとの複合体の結晶構造解析に成功し、新規のRNA認識機構を明らかにした。本研究では、引き続きC末端ドメイン全長の動的な構造変化をX線結晶構造解析により明らかにすることを目指す。 本年度は、昨年度得られたM.thermoacetica SelB C末端ドメイン全長(SelB-C、377-634)とSECIS mRNAヘアピンとの複合体の結晶からSpring8にて得られた回折データを用いて、分子置換法により構造決定を行うことに成功した。その結果、これまでのSelB-SECIS RNA相互作用以外に、予想外のRNA結合様式が存在することがわかった。これは、SelB-Cの4つのWHドメインうちWH3-4とWH2の間がRNA結合に伴い、正電荷に偏った表面構造を作り出すことにより形成されることがわかった。また、この部分ではRNAのリン酸骨格のみが認識され、塩基特異性はないと考えられたことから、tRNAやrRNAの認識に重要な役割を果たす可能性を明らかにすることができた。同時にSelB全体の動的な構造変化とリボソームの間でのコミュニケーションを考察することができた。
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Research Products
(1 results)