2006 Fiscal Year Annual Research Report
100Sリボソームの構造とその形成に関与する蛋白因子の機能の解析
Project/Area Number |
17026033
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
吉田 秀司 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60288735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 明 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80025387)
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Keywords | リボソーム / 100S / 大腸菌 / 定常期 / 翻訳サイクル / RMF / HPF / Hibernation stage |
Research Abstract |
100SリボソームにはRMF以外にも定常期特異的に発現する蛋白質が数種類結合している。その中で特に興味深いのがHPF(hibernation promoting factor)である。この蛋白質はRMFと同様に100Sリボソームにだけ結合している。このことからHPFが100Sリボソームに何らかの関与をしていることが予想される。そこで、大腸菌のHPF欠損株を作成し、蔗糖密度勾配遠心で100Sリボソームの形成状態を調べた。その結果、HPF欠損株では100Sリボソームがほとんど形成されず、このとき存在する70sリボソームにはYfiAという蛋白質が通常より多く結合していた。このYfiAも定常期特異的に発現する蛋白質として同定されたものの一つであり、HPFと約40%のアミノ酸配列の相同性を持っている。次に、YfiA欠損株を作成して調べてみた。すると、100Sリボソームの形成量が増加し、HPFの結合量も増加していた。これらの事実から、HPFとYfiAはリボソーム上に重複する結合部位を有して競合関係にあり、100Sリボソームの形成をHPFは促進し、YfiAは逆に阻害することが分かった。そして、HPFを持たないリボソームはRMFが結合しても沈降係数が約90Sの不安定な二量体しか形成できず、HPFが結合して初めて安定した100Sリボソームが形成される2段階の過程を経ることを明らかにした。 また、翻訳を終了したリボソームが次の翻訳サイクルに向かうにはInitiation factor3(IF3)が30Sサブユニットに結合して30Sと50Sに解離することが必要である。一方、定常期においてRibernation stageに向かうにはRMFがリボソームに結合して二量体化することが必要である。従って、「翻訳を終了したリボソームが再び翻訳サイクルに向かうのか、翻訳活性を失って休止するのか」の決定には、IF3とRMFの競合が関係していると考えられる。この競合がどの様に行われ、どのように蛋白質合成活性の制御が行われているのかを明らかにするために、リボソームにIF3あるいはRMFを添加するin vitro実験を行った。その結果、対数期のリボソームを用いたときと定常期のリボソームを用いたときでIF3とRMFの活性が異なることを明らかにした。
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