2006 Fiscal Year Annual Research Report
高次クロマチン構造形成に関与するRNA分子発現機構の解析
Project/Area Number |
17026041
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 潤一 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, チームリーダー (60373338)
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Keywords | ヘテロクロマチン / RNAi / Ago1 / Arb2 |
Research Abstract |
分裂酵母では、RNAiに関与する因子が高次クロマチン構造の形成に関与することが明らかにされており、Ago1はその中心的な役割を果たす因子である。本年度は、まずヘテロクロマチン形成におけるAgo1の詳細な機能を探るため、Ago1と相互作用する因子の生化学的な単離を試みた。エピトープタグを融合させたAgo1をアフイニティー精製し、結合する因子を質量分析計を用いて解析した結果、Ago1と相互作用する因子として新規にArb2(Argonaute binding2)を同定することに成功した。Arb2をコードするarb2^+遺伝子を欠損させた破壊株では、他のRNAi因子の欠損株と同様にヘテロクロマチン構造に由来するサイレンシングの解除が起こり、また、ヘテロクロマチンに由来する短いsiRNAの産生が見られなくなることから、Arb2が分裂酵母のRNA機構に関わる新規の因子であることが明らかになつた。Ago1は、以前の解析からChp1,Tas3という二種類のタンパク質と共にRITSと呼ばれる三者複合体を形成し、この複合体がsiRNAを取り込むことで、ヘテロクロマチン領域へターゲッティングすることが明らかにされている。興味深いことに、今回我々が同定したArb2は、このRITS複合体を形成するAgo1とは、異なる分画のAgo1と相互作用しており、またクロマチン免疫沈降法により、クロマチン領域へは直接結合していない事が明らかとなつた。以上の結果から、今回新規に単離されたArb2は、二本鎖RNAを取り込んだAgo1が、RITS複合体を形成する途中の段階を制御する、これまでに報告のない新しい制御因子であることが示唆された。
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