2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNAと蛋白質の複合体によるヌクレオチド選択の分子進化基礎研究
Project/Area Number |
17026043
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
富田 耕造 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物機能工学研究部門, 研究グループ長 (00345274)
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Keywords | RNA / 酵素反応 / RNA合成 / 鋳型非依存性 / 特異性 / 分子進化 |
Research Abstract |
tRNAの末端に存在するCCA配列はCCA付加酵素と呼ばれる酵素によって合成、修復される。この酵素は通常のDNAあるいはRNA合成酵素とは異なり、核酸性の鋳型を用いることなく定まった配列を合成することができるユニークな鋳型非依存性RNA合成酵素である。申請者はこの酵素活性が進化的に古い真正細菌(Aquifex aeolicusなど)ではCC付加酵素とA付加酵素へと分断されていることを発見しており、このCCA付加酵素活性の分子進化を探るうえで興味深い研究対象であると考えている。また、最近、申請者はAquifex aeolicusのA付加酵素と末端のAが欠けたtRNAおよびヌクレオチドアナログ(ATPのアナログ)との三者複合体の構造を決定しているが、この解析からヌクレオチド結合部位が核酸と蛋白質の協同で形成されていることを見出している。本申請ではこの活性の分子機構、分子進化基盤を明らかにするため、アミノ酸一次配列がAquifex aeolicusのA付加酵素と非常に相同性が高いが、酵素活性はCCA付加活性を有する、Thermotoga maritimaのCCA付加酵素の機能構造解析を通して特異性の切り替えの分子基盤、進化基盤を明らかにすることを目的とした。T.maritimaのCCA付加酵素はAquifex aeolicusのCC付加酵素よりも、むしろA付加酵素に進化的に近いことも明らかになっている。今回、申請者はT.maritimaの単体および複合体の結晶化を行い、それぞれの結晶を得ることに成功した。単体に関してはセレノメチオニン置換結晶を用いて位相決定に成功し、現在モデリングを行っている。また複合体に関しては、tRNAとの複合体結晶化は成功しなかったが、tRNAの上腕部(ミニヘリックス)を用いることにより結晶化に成功した。また、回折実験より、2.8Aの分解能でのデーターの取得に成功した。今後、複合体をセレノメチオニン置換体蛋白質を用いてを作成し、位相決定を行う予定である。
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