2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の概日時計遺伝子Periodlの翻訳活性化に機能するLarkの解析
Project/Area Number |
17026044
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Research Institution | Mitsubishi Kagaku Institute of Life Sciences |
Principal Investigator |
程 肇 株式会社三菱化学生命科学研究所, 研究部門, 主任研究員 (00242115)
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Keywords | 概日リズム / 視交叉上核 / 時計遺伝子 / 翻訳制御 / Lark |
Research Abstract |
マウスの時計遺伝子Per1転写産物量は、概日時計中枢である視交叉上核(SCN)で、明暗及び恒暗飼育条件下明期にピークを持つ明確な約24時間周期のリズムを有していた。一方、SCNでのPer1タンパク質の発現量は、mRNA量に比べて位相が約4-6時間も遅れたリズムを示した。この結果は、Per1分子の発現には、転写後制御が重要な機能を果たしていることを示す。実際、Per1 mRNAの3'UTR中に翻訳を正及び負に制御する2つの領域を決定し、特に正に制御する領域にはLarkタンパク質が結合して転写後制御機構を活性化することを明らかにした。また、SCN細胞内Lark mRNAに転写リズムこそ見いだされないものの、Lark分子の発現にはPer1分子と同じ位相の概日リズムが観察され、Lark自身も転写後制御を受けること、そして、Larkの発現リズムがPer1の発現リズムを形成することを示唆している。本年度はまず、Lark1とLark2のPer1 mRNAの核外移送ではなくまさしく翻訳を活性化することを明らかにした。この結果に基づき、次年度においては、精製したLark1とLark2タンパク質を用いた、Per1 mRNAの試験管内翻訳系を構築することでその分子機構を明らかにしたい。また、この転写後制御分子機構を調べるために、Larkと相互作用する分子をY2H法により検索した。この中にはRNA helicaseとともに翻訳開始に機能するタンパク質が含まれていた。現在、Per1 mRNAの翻訳を特異的に阻害するLarkタンパク質が、Larkと相互作用するドメイン、Per1 mRNAと相互作用に必要なドメインや、結合するPer1 mRNAの塩基配列を明らかにしている。これらの解析を通じて次年度は行動リズムという高次機能に機能するRNAネットワークの構造を理解する。
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[Journal Article] Constitutive Expression of the Period1 Gene Impairs Behavioral and Molecular Circadian Rhythms.2006
Author(s)
Numano, R., Yamazaki, S., Umeda, N., Samura, T., Sujino, M., Takahashi, R., Ueda, M., Mori, A., Yamada, K., Sakaki, Y., Inouye, S., Menaker, M., Tei, H.
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Journal Title
Proc.Natl.Acad.Sci.USA 103
Pages: 3716-3721
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