2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の細胞間情報伝達に必須な細胞接着関連遺伝子の同定と機能解明
Project/Area Number |
17027002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
岩井 宏暁 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (30375430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 忍 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70196236)
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Keywords | 細胞接着 / 細胞間移行 / 原形質連絡 / 細胞壁 |
Research Abstract |
タバコ葉切片培養系を用いることにより無数の不定芽や毛状根(メリステム)が誘導される。本研究では、この不定芽/毛状根誘導系を利用し、Nicotiana plumbaginifolia半数体植物を用いてT-DNAタギング変異体を作出し、新たな細胞接着関連遺伝子の同定を行った。 nolac-H18株において、変異の原因遺伝子として新規糖転移酵素遺伝子=NpGUT1(glucuronyltransferase 1)が同定された。NpGUT1は、初めてのペクチン合成関連遺伝子で、ホウ素-ペクチン分子間架橋およびホウ素の受容に必須の遺伝子である。NpGUT1は、未熟種子胚の全体、子葉、茎頂、そして花においては、タペート、成熟花粉、花粉管の先端部、花柱の伝達組織において発現を示した。そこで、DEXによるNpGUT1遺伝子発現の抑制をしたところ、茎頂がカルス化、本葉が癒合するなどのメリステム機能の異常、ホウ素欠乏と同様の生育阻害、そして、花粉形成、花粉管伸長などの雄性器官の形成阻害および、雌しべ花柱の伝達組織の不全といった雌性器官の形成阻害などの生殖機能不全が観察された。NpGUT1は、メリステム等の細胞接着におけるペクチンのホウ素架橋の形成、そして、受精に関わる組織の形成と機能においても重要であることが考えられた。 一方、ペクチンのアラビナン鎖の伸長が著しく抑制されている変異体nolac-H14の原因遺伝子として、新規膜タンパク質LARA1(long arabinan related protein 1)が同定された。過剰量のアラビノースの添加により変異形質が回復したことから、LARA1はアラビノース転移反応の基質であるUDP-アラビノースの供給に関与すると考えられた。また、LARA1はメリステムでの発現が確認された。今後、LARA1を端緒として、未知のアラビナン鎖合成酵素複合体の全貌解明が期待される。
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Research Products
(1 results)