2005 Fiscal Year Annual Research Report
イネエピジェネテック変異体Epi-d1の遺伝子発現機構の解明
Project/Area Number |
17027012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芦刈 基行 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教授 (80324383)
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Keywords | イネ / QTL |
Research Abstract |
Epi-d1変異体(japonica)とカサラス(indica)の雑種集団を育成し、約6,000個体のF2を用いて原因因子のポジショナルクローニングを行い、候補領域を約60kbに特定した。この候補領域には三量体Gタンパク質α-サブニニットをコードする矮性遺伝子D1が座乗していた。この遺伝子の機能欠損型変異体d1とEpi-d1変異体の矮性部位の表現型は酷似すること、d1変異体とEpi-d1変異体とを交配し同座性検定を行ったところ、F1はd1型の矮性表現型を示した。これらの結果から、Epi-d1の原因因子がD1遺伝子であると推定した。しかし、塩基配列を決定したところ、Epi-d1変異体のD1遺伝子塩基配列内には塩基の変位場所は存在しなかった。そこで、Epi-d1変異体におけるD1遺伝子の発現解析を行ったところ、正常部位ではD1遺伝子が発現していたが、矮性部位では発現が見られなかった。これらの結果より、Epi-d1変異体における矮性表現型と正常表現型のキメラ性は、D1遺伝子発現のOn, Offに規定されていると結論した。またD1遺伝子の転写開始点を決定するとともに、この領域のメチル化状態をメチル化感受性制限酵素を用いて調査した結果、D1遺伝子が発現せず、矮性になっている部位ではD1遺伝子の転写開始点の直前がメチル化していること、逆にD1遺伝子が発現し、正常型になっている部位では脱メチル化していることが明らかとなった。そこで、D1遺伝子の発現制御を規定している領域を推定するために、Epi-d1変異体にカサラスを戻し交雑して得られた準同質遺伝子系統(D1近傍領域がEpi-d1変異体由来でその他のゲノム領域がすべてカサラスに置換された系統)を用いて表現型およびD1遺伝子の発現を調査し、この制御領域がD1遺伝子のシスに存在すると推測した。
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