2006 Fiscal Year Annual Research Report
気孔発達過程における孔辺細胞の分裂と相称的形態形成の分子機構
Project/Area Number |
17027020
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中川 強 島根大学, 総合科学研究支援センター, 教授 (30202211)
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Keywords | 植物 / シロイヌナ / 気孔 / 孔辺細胞 / 形態形成 / 細胞極性 |
Research Abstract |
植物表皮の気孔は大気とのガス交換調節を行う重要な構造である。我々は高等植物における気孔の発達メカニズム、そして細胞分裂や細胞分化の仕組みを解明することを目的に、シロイヌナズナの気孔形成突然変異体を用いて孔辺細胞の発達に関わる遺伝子の単離・解析を進めてきた。本年度の本研究課題では特に孔辺母細胞の分裂後の細胞形態構築に関する変異体(MC79)に着目して研究を進めた。 MC79はロイシンリッチリピートを持つ受容体型キナーゼの変異体で、孔辺細胞の伸長方向や湾曲方向が異常になる表現型を示す。MC79はメリステモイドから孔辺細胞母細胞の周囲の細胞膜に出現し、孔辺母細胞の成熟段階では発現が消失する。また、孔辺母細胞の分裂面の細胞膜には局在しないという特徴がある。MC79受容体型キナーゼの情報伝達に上記のような一過的かつ特異的な局在パターンが深く関わっていると考え、孔辺細胞発達の異なる時期に発現する遺伝子SDD1のプロモーターを利用して、MC79-GFPの異所的発現の実験を行った。その結果、MC79受容体型キナーゼが孔辺母細胞の分裂面局在するようになり、それに伴い孔辺細胞の方向が逆転することが観察された。このことから、MC79受容体型キナーゼが本来は孔辺母細胞の周囲にのみ局在して、外側(背側)の信号を発しており、これに従って孔辺細胞の形態構築が進められていること、誤った局在部位である分裂面に局在させたため孔側が背側の性質を持って細胞極性の逆転が生じたことが示された。これらの結果から、MC79受容体が孔辺細胞の極性を決定する情報伝達の因子であり、その局在場所によって細胞の背腹性が決められるという制御の仕組みが見え始めた。細胞の形態に深く関わる微小管の配置との関連に興味が持たれる。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Sugar-inducible expression of the nucleolin-1 gene of Arabidopsis thaliana and its role in ribosoma synthesis, growth and development.2007
Author(s)
Kojima H., Suzuki T., Kato T., Enomoto K., Sato S., Kato T., Tabata S., S-Vasquez J., Echeverria M., Nakagawa T., Ishiguro S., Nakamura K.
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Journal Title
Plant J. 49
Pages: 1053-1063
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