2005 Fiscal Year Annual Research Report
花序のメリステム形成をエピジェネティックに抑制するTFL2遺伝子の解析
Project/Area Number |
17027030
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Research Institution | Research Institute for Biological Science Okayama |
Principal Investigator |
後藤 弘爾 岡山県生物科学総合研究所, 遺伝子工学部門, 専門研究員(室長) (00251489)
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Keywords | 分子遺伝子学 / 発生 / エピジェネティクス / 発現制御 / 植物 / ヘテロクロマチン / 春化 / サイレンシング |
Research Abstract |
本研究では、アラビドプシスにおける唯一のHP1ホモログであるTFL2による遺伝子発現抑制の分子機構の解明を目的とする。 TFL2が作用するDNA領域を直接的に明らかにするため、tf12突然変異体を相補するTAG付きTFL2を用いて、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を行った。AP3プロモーターについては、TFL2による免疫沈降後、特異的にPCRで増幅される領域を特定することが出来たが、FTに関しては特定できなかった。 FLC遺伝子は、アラビドプシスにおいて花成の自律的促進系路、春化応答経路を統合し、FT、SOC1の発現を抑制する転写因子をコードしている。FLCは春化に応答することで、その発現がエピジェネティックに抑制される。そこでFLCの発現調節にTFL2がどのように関与しているのかを明らかにするため、FRI-d;tf12二重突然変異体を作成し、春化応答と、FLCの発現を調べた。その結果、短日条件下において、FRI-dにみられる春化処理による花成促進効果が、FRI-d;tf12ではみられなくなることが分かった。また、春化処理によって、FRI-dではFLCの発現が抑制された状態が維持されるのに対し、FRI-d;tf12ではFLCの発現が春化処理終了後速やかに上昇することが明らかとなった。以上のことから、TFL2はFLCの春化によるエピジェテネティックな発現抑制状態の維持に主要な役割を果たしていることが示唆された。さらに、ChIP実験により、TFL2はFLCの第1イントロンに結合していることが明らかとなった。この領域は他のクロマチン因子の作用点でもあり、TFL2や他のクロマチン因子が複合体を形成して、FLCのエピジェネティックな発現抑制を行っている可能性が高い。
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[Journal Article] FD a bZIP protein mediating signals from the floral pathway integrtor FT at the shoot apex.2005
Author(s)
Abe, M., Kobayashi, Y., Yamamoto, S., Daimon, Y., Yamaguchi, A., Ikeda, Y., Ichinoki, H., Notaguchi, M., Araki, T.
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Journal Title
Science 309
Pages: 1052-1056
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