2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫C.elegansにおけるエンドサイトーシスの分子メカニズムの解析
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17028006
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 健 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (30311343)
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Keywords | 線虫 / C.elegans / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
我々は線虫C.elegansをモデルとして,卵母細胞による卵黄のエンドサイトーシスの分子メカニズムについて研究を行ってきた。これまでに分離された卵母細胞によるエンドサイトーシスに欠損を示す変異株rme(receptor-mediated endocytosis defective)のうち,本年度はまずrme-6変異株の解析を行った。クローニングの結果,rme-6の原因遺伝子は線虫からヒトまで高く保存された新規遺伝子であることが明らかとなった。rme-6遺伝子はアミノ末端側に低分子量GTPase RasのGTPase活性化領域,カルボキシル末端側に低分子量GTPase Rab5のGDP/GTP交換因子領域を持つタンパク質をコードしていた。rme-6変異株はエンドサイトーシスの初期段階で欠損を示し,この変異株では細胞膜のごく近傍に直径100nmぐらいの小胞が互いにドッキングしたような膜構造が蓄積していることが判明した。詳細な解析の結果,RME-6タンパク質は細胞膜上のクラスリン被覆ピットに局在し,エンドサイトーシスのキーコンポーネントであるRab5を活性化することによって,細胞膜からエンドソームへの物質輸送を制御する新たな因子であることが明らかとなった。一方,rme-3変異株についても解析を行った。rme-3は卵黄タンパク質の取り込みに温度感受性を示し,高温では胚性致死を示すことが明らかとなった。クローニングの結果,rme-3はclathrin heavy chain遺伝子上に変異を持つ高等真核生物においてはじめての温度感受性変異株であることが判明した。高温において運動させると麻痺を起こすことから,神経/筋肉系にも異常を示すことが明らかとなった。
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