2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期停止によるアポトーシスにおける蛋白質分解系の機能
Project/Area Number |
17028012
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
安達 貴弘 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (50222625)
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Keywords | アポトーシス / 細胞周期 / ユビキチンキナーゼ / シャペロン / 活性酸素種 / 蛋白質分解 |
Research Abstract |
細胞周期回転は細胞分化段階に応じてアポトーシスを制御し、秩序正しい細胞の増殖・分化に重要な役割を果たしていると考えられる。我々は細胞周期回転とアポトーシスの関連を明らかにするために、細胞周期停止によるアポトーシスを誘導してアポトーシスに抵抗性を示す遺伝子断片のスクリーニングを行った。その結果、von Hippel-Lindau(VHL)病の原因遺伝子として同定されたVHL癌抑制タンパク質(pVHL)と会合する2種のタンパク質遺伝子(ElonginBとTRiC/CCT)の断片が得られた。VHL癌抑制タンパク質はElonginB/Cなどと複合体を形成し、ユビキチンリガーゼとして働く。また、この複合体形成には分子シャペロンであるHsp70とTRiC/CCTが必要である。得られた遺伝子断片はElonginBとTRiC/CCTのアンチセンスcDNA断片であった。各種薬剤やCDK阻害分子を用いて各種細胞にアポトーシスを誘導する系を利用してelonginBのアンチセンスRNAあるいはsiRNA発現細胞において細胞周期停止によるアポトーシスへの影響を検討したところ、elonginBの発現抑制によりアポトーシスが抑制されていた。このことはelonginBが細胞周期停止によるアポトーシスに関与していることを強く示唆するものである。さらに、細胞周期停止によるアポトーシス関連候補遺伝子としてc-Mycのアンチセンス遺伝子断片を同定し、c-Mycの発現が抑制されると細胞周期回転の停止によるアポトーシスが抑制され、c-Mycの発現レベルが細胞周期回転の停止による細胞の運命決定に重要なことを見出した。また、c-Mycの発現レベルに応じて活性酸素種(ROS)の産生が認められ、このROSの蓄積がアポトーシスの誘導に重要であることが判明した。
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Research Products
(3 results)