2005 Fiscal Year Annual Research Report
トランスサイレチンのアミロイド線維形成と立体構造変化
Project/Area Number |
17028015
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水口 峰之 富山大学, 薬学部, 助教授 (30332662)
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Keywords | トランスサイレチン / タンパク質 / アミロイド線維 / NMR / AFM / 家族性アミロイドポリニューロパシー |
Research Abstract |
Transthyretin(TTR)は、127残基から成るβ-sheet蛋白質であり、生理的条件下では四量体を形成している。しかしながら、アミノ酸変異の影響によってアミロイド線維を形成し、家族性アミロイドポリニューロパシーを引き起こすと考えられている。アミノ酸変異によってTTRが不安定化し、アミロイド線維が形成しやすくなっているのではないかと予想されており、これまでに80種類以上の変異体が発見されている。本研究では、溶液NMRや原子間力顕微鏡(AFM)等の物理化学的手法を用いて、TTRのアミロイド線維形成について研究する。 TTRの105-115残基からなるペプチドフラグメント(TTR105-115)を作製し、アミロイド線維形成について研究した。AFMによる観察により、直線的なアミロイド線維が形成されること、アミロイド線維がいくつかのプロトフィラメントにより出来ていることを示した。また、このペプチドのアミロイド線維形成は核依存的重合モデルによって説明できることもわかった。TTR105-115の溶液構造の解析を行うために条件検討を行った結果、線維核非存在下で100mM酢酸(pH2.8)の条件で、アミロイド線維とならずに良質なNMRスペクトルを測定できた。 TTR105-115のアミロイド線維が全長TTRに与える影響についても研究した。全長のY116S変異体にTTR105-115のアミロイド線維を加えると、中性pHにおいて全長Y116S変異体の凝集が促進され、神経芽細胞種IMR-32に細胞死を引き起こすことがわかった。また、アミロイド線維を加えることによってできたY116S変異体の凝集物は、線維ではなく球状の凝集物であった。
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